自分を信じる勇気

251005 自分を信じる勇気 自己信頼や自己理解、そして幸福感それらを見つけるにはどうするかその鍵となる考え方を理解を深めていきます。自分の知性と性格とどう向き合っていくか。それから誰もが持っている劣等感これをどう力に変えていけるのか。そして自己受容と人生の目的を説明します。これらの概念が自分自身の日々の生活と自己信頼に響いていくのか考えていきます。単なる自己啓発のテクニックではなく根本的に自分自身と向き合い方、そしてより肯定的に生きていくための視点、特に自分に何が備わっていて、それをどう活かすかがポイントとなります。 一般的に私たちが考える,IQだけが知性ではありません。問題解決能力や創意工夫、これも立派な知性となります。学校で育むべき要素として尊敬、共感、信頼感、貢献感、 人間関係に関わる力もあります。ハワード・ガードナーの多重性知能理論があります。言語的な知性、対人関係の知性、自分自身を深く理解する内省的な知性など。知性も多様な側面があり,自分自身の強みについて,どのあたりにあるのか考えることができます。今まで知性なんて思ってみなかった部分に光を当てて考えてみるものです。この知性の多様性というのを理解することが、自己理解の第一歩でもあります。自分がどの領域で輝けるのか、それを知ることで、自分が最終的にどうなりたいのか、という自己認識が深まるわけです。それだけではなく、他の人が持っている異なる知性や価値を認めることにもつながっていきます。これが他者への尊敬や共感を自然に育む土壌にもなります。そしてこの自己理解の性格の形成とも密接に関係してきます。 例えば、持って生まれた気質は、内向的か、外向的か、または、育ってきた家庭環境や、家族が大事にしてきた価値観や家族全体の雰囲気、これらが複雑に絡み合ってその人固有の思考パターンや感情の反応、つまり性格を形作っていくということも考えられます。自分らしさを知る良い手がかりになります。知性も性格もまずは。自分を知ることから始まるということになります。 その次に、自分らしさを磨くことに移ります。個性的であることと周りとうまくやっていく協調性のこの2つのバランスが大事になります。そして、セルフトレーニング、つまり自分で努力し続けることの重要性も大事になります。情動を上手にコントロールできる人は、理性と感情を適度に使い分けながら行動できる人であります。 具体的にどういう状態を指しているのか考えます。これは感情に蓋をするのとは違います。感情を無視したり、抑圧したりするのではなく、まず自分の感情をしっかりと認識した上で、その感情に短絡的に反応してしまうのではなく、状況や目的に合わせて理性と感情の。いわば調整する能力が大事になります。感情というとすぐにカッとなって行動に移すのではなく一呼吸置いて考える、そういうことが大事になります。 次にリーダーシップの話も大事です。リーダーシップは誰もが必要であります。いわゆる管理職やリーダーという役職に限った話ではありません。ここで言っているリーダーシップは私たち一人一人が自分の人生という船の船長として主体的に行き先を決めて困難を乗り越えていく力であります。そういう意味合いで捉えています。自分の人生の主導権を握るということです。自分の人生のリーダーです。そのように考えると誰にでも必要な力ということがわかります。 そしてこの自分らしさを、自分の人生のリーダーシップを追求していく上で,多くの人が直面するのが、劣等感の付き合い方です。人は生きている以上、劣等感を抱く存在となります。これは、ある意味、すごく正直なことであります。完璧な人間なんていないからです。他人と比べて感じる劣等感と、あとは自分の中の理想と比べて、感じる劣等感この2種類があります。ここでとても重要なポイントは劣等感と劣等コンペックレックスは分けて考えるということです。 自分はここが足りないと感じる。劣等感自体はむしろ成長へのバネになり自然な感情であります。劣等感そのものが全部悪いというわけではありません。問題になってしまうのはその劣等感が過度に強くなってしまい、そしてどうせ自分なんてみたいな言い訳や、行動しないことにつながり、自分自身のブレーキに使われてしまう、劣等コンプレックスの状態になり、これに陥らないように意識することが大事であります。そのために大事なことは、貢献感を持つことです。つまり、自分は誰かの役に立っているという感覚を持つことが大事になります。 これは、アドラー心理学の中心的な考え方であり、個人の主体性や目的、共同体感覚を重視する心理学にも通じるところがあります。誰かの役に立てているということを感じると、何か自分の価値を感じることにもつながりやすくなります。 自分の努力では変えられないこと、例えば、生まれた環境や過去の出来事、そういうことがあったとしても、 それに対してどう反応してどう意味づけるのかというよりは完全に自分自身の選択できることに主体的な姿勢を持ちそれが劣等感を乗り越える上でとても大事な力になります。変えられないことに囚われるのではなく、変えられる反応や意味づけに焦点を当てること。これが大切になります。 そこで大事になるのが言葉の力であります。普段何気なく使っている言葉が自信に影響するということは、 多くの人が実感していることであります。特に陽性感情,つまりポジティブな感情を意識的に働かせることが大事になります。安心感,期待感,満足感,喜び,興味,感動,愛情,幸福感,このように,リストアップするだけで、とてもたくさんのポジティブな感情があるということを、改めて気づかされます。そして、そのポジティブな感情を引き出す道具というのが、まさに言葉であります。自分自身に向ける言葉、いわゆるセルフトーク、これを意識的にポジティブなものに変えることで、気分や思考もポジティブな方向へ導かれやすくなります。一種の自己暗示のような効果も期待できます。例えば、失敗したときにもうダメだとつぶやく代わりに、よし、ここから何を学べるか考えようと、このほんの小さな習慣の積み重ねが、自己肯定感を育んでいきます。普段からセルフトークを意識してみてください。結構ネガティブなことも言っている人も多いことに気づきます。だからこそ、意識的に変えていく価値があります。 ネガティブな感情の中でも、妬みと嫉妬は区別して考えます。その対処法について考えていきます。妬みと嫉妬は似ているようですけど違います。嫉妬というのは,主に人間関係の中で大切な人との関係が何か脅かされるという感じた時に生まれる感情であります。その感情の存在を認めて、事実を確認して、建設的なコミュニケーションで対応することが大事になります。一方で、妬みというのは、他者が持っているものをこう羨ましく思う感情です。これを単に相手を引きずり下ろしたりしたいという破壊的な方向ではなく、羨望、つまり自分もああなりたいな、自分もあれを手に入れたいなという向上心や目標達成へのエネルギーに転換していくことが大事になります。ネガティブな感情も見方を変えればエネルギーの源になり得るということです。 そして、いろいろな感情や自己認識を得て、次に「自己受容」というテーマにつながります。ありのままの現実、ありのままの自分を受け入れることが、最終的に人生の満足度や幸福度に高めていくということになります。ここで大事なのが、見方を変える発想を転換することの力であります。同じ出来事や、同じ自分の弱みであっても、捉え方次第で、悩みや短所が可能性やユニークな魅力へと変わっていきます。 例えば、頑固ということは、意志が強いと転換できます。飽きっぽいということも、好奇心旺盛なんだなというふうに捉え直すこともできます。これをリフレーミングと呼びます。この視点の転換、発想の転換ができるようになると、今までは、これは自分の性格だからと言って避けてきたことであっても、少し挑戦してみようかな、そのような勇気が湧いてくるかもしれません。結果として、生き方そのものがより肯定的になって可能性が広がっていきます。自己受容は、自己肯定感を育むための大切な土台とも言えます。 そして、その自己受容を土台にして、今度は未来を描いていく人生のシナリオについても考えていきます。自分の中には無意識のうちに描いている究極目標地点、つまり理想の自分像みたいなものがあります。そして、その魅力的な未来の自分に到達するために、今この瞬間に何をすべきか、何を積み重ねていくべきか、考えることが重要になります。 未来志向的で何か希望を感じさせる考え方です。ここでポイントなのは、その究極目標については必ずしも具体的で達成可能な短期目標とは限らないということです。むしろ人生の羅針盤みたいな大きな方向性を示すものでありますから、そこに至るための長期目標や中期目標、短期目標というのは状況の変化とか自己理解が深まりに応じて、柔軟に見直ししたり変更したりしても構いません。 何か固定的な計画に縛られたりするのではなく、大きな方向性を見失わずに、しなやかに進んで対応していくイメージです。柔軟に変更しても構いません。計画は必ずしも予定通りいくことがすべてではありません。 そして、ここでもまたセルフトークが鍵になってきます。未来の理想の自分を思い描いて、それに向かって進み、自分を励ますような言葉をかけます。これが日々のモチベーション維持や困難に立ち向かう勇気から来ます。 自分を励ます言葉が大切です。そして、自分だけではなく、他者との関係における勇気づけ。これも重要な要素として挙げられます。リスペクトをすること、それから共感すること、信頼する、そして協力する、こうした関わりが良好な人間関係を築くだけでなく、巡りに巡って自分自身の価値を感じて、自己価値観を高めて、幸福度を高めることにつながります。 プラスのイメージを掛け算でアップしていくイメージも良いです。ポジティブな関わりが相乗効果でどんどん良い循環を生み出していくイメージになります。そして具体的な行動指針として,示しているのが、誰かに必要とされていると感じることです。それを自分にできる範囲でやること。そして、今更遅いなんて思わずに今から始めること。非常に前向きで実践的な考えです。貢献感にも直結する考え方であります。今からやる、何を始めるにしても遅すぎることなんてありません。そして本当に大切なことは、自分が持っているもの、自分に残されているものは何かを考えることであります。 パラリンピックの創設に尽力したルード・ヴィヒ・グッドマン博士の「失われたものを数えるな。残されたものを最大限に活かせ。」この言葉は、事故などで身体的な機能を失った選手たちに向けられた言葉でありますが、我々全員に当てはまる普遍的なメッセージでもあります。次に、アルフレッド・アドラーの言葉。「重要なことは、人が何をもって生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかである。」この言葉は、持って生まれた才能とか、環境、あるいは過去の経験といった、「与えられた」そのものよりも、それを自分がどう解釈して、どう活用していくか、その使い道こそ人生を豊かにすることに鍵があるということを意味しています。失われたものではなく、残されたものに目を向け、与えられたものをどう使いこなすかこれは自己信頼と幸福への道筋を示す根本的な哲学であります。 知恵の捉え方、劣等感との建設的な向き合い方、自己受容の力、そして何よりも、今、ここから自分に与えられたものを最大限にいかしていきます。自分自身に与えられたものは何か。それは才能かもしれないし、経験かもしれない。あるいは、特定の価値観や人間関係かもしれません。その中で、今日から特に意識して活用したいなと。あるいは、これからもっと育てていきたいと感じるもの。何かあるはずです。自分自身の内面を見つめてみることが大事です。内省的な知能を働かせること自体が、自分を信じる勇気を育むための確かな第一歩になります。

Published
Categorized as 未分類

思考特性と行動特性

第1章:ハーマンモデルとエマジェネティクスの概要 ハーマンモデル(HBDI:Herrmann Brain Dominance Instrument)は、人間の思考スタイルを4つの象限に分類することで、個人の「利き脳」や認知傾向を理解するための理論モデルです。1980年代にGE社のネッド・ハーマン博士によって開発され、世界中の企業や教育機関で活用されています。 一方、エマジェネティクス(Emergenetics)は、「Emerge(出現する)」と「Genetics(遺伝学)」を組み合わせた造語であり、ハーマンモデルの思考特性に加えて、3つの行動特性(自己表現性・自己主張性・柔軟性)を取り入れた理論です。これにより、人の思考と行動の特性をより立体的に捉えることが可能になります。 以下のサイトでは、簡単な質問に答えることで、自分の思考タイプを知ることができます。👉 https://herrmann.rere.page/ 第2章:思考スタイルの違いが生むコミュニケーションギャップ 人はそれぞれ、考え方やコミュニケーションの取り方に癖があります。こうした違いは、なぜ生まれるのでしょうか。そして、それが日常の人間関係や仕事の進め方にどのような影響を与えているのでしょうか。 日頃のコミュニケーションを見直したり、自分自身の新しい見方を理解するために、思考スタイルの違いを知ることは非常に有益です。職場では、コミュニケーションのすれ違いによって意思疎通がうまくいかず、結果として人が離れてしまうことが少なくありません。実際、離職の原因の多くはコミュニケーションギャップにあると言われています。 「なぜ伝わらないのか」「なぜ分かり合えないのか」——その根本にあるのが、エマジェネティクス(EG)という考え方です。 第3章:思考スタイルの違いを理解する EGはEQ(感情指数)とは異なり、脳の特性に基づいた思考や認知の好みのパターンを示します。いわゆる「利き脳」の概念です。 人にはそれぞれ異なる思考パターンがあり、「違うこと」が前提です。私たちはつい、自分の「普通」を基準にしてしまいますが、その「普通」は人によってまったく異なります。 例えば、ある人にとっては結論から話すのが自然でも、別の人には経緯から丁寧に説明されないと理解できないというのが自然です。こうした根本的な思考スタイルの違いが、コミュニケーションギャップにつながる可能性があります。 仕事におけるコミュニケーションは、単に仲良くすることではなく、考え方の違いを認識し、それを乗り越えて情報を正確に伝えることが重要です。感情的に寄り添うだけでなく、相手がどのようなプロセスで考えているのか、思考の地図のようなものを理解することが非常に大切です。 第4章:EGの思考特性と行動特性の分類 エマジェネティクス(EG)では、人の思考スタイルを以下の4つのタイプに分類しています。それぞれ色で象徴され、特徴的な認知傾向を持っています。 思考特性(4タイプ) 誰もがこれらの要素を持っていますが、どの特性をより好んで使うかに違いがあります。たとえば、「あの人はデータに厳しいから青っぽい」「いつも周囲に気を配っているから赤の人だな」といったように、周囲の人を思い浮かべると当てはまることがあるかもしれません。 行動特性(3タイプ) EGでは、思考の好みに加えて、行動のスタイルも重視しています。以下の3つの行動特性があります。 この4つの思考特性と3つの行動特性の組み合わせにより、非常に多様な人間のスタイルが生まれます。思考の「エンジン」としての4タイプと、それをどう「動かすか」という行動特性の組み合わせが、個人の特性をより深く理解するための鍵となります。 たとえば、同じ分析型でも、じっくり考えて発言する人と、積極的に意見を主張する人では、周囲からの見え方やコミュニケーションの取り方が大きく異なります。 これは単なる性格診断ではなく、「なぜ人が特定の状況でそのように振る舞うのか」という背景にある好みを理解するための、非常に解像度の高い地図と言えるでしょう。 第5章:ハーマンモデル(HBDI)との比較と診断結果の考察 ハーマンモデル(HBDI:Herrmann Brain Dominance Instrument)は、正式名称を「ハーマン・ブレイン・ドミナンス・インストゥルメント」といい、脳の特性に基づく思考の優位性、いわゆる「利き脳」を可視化するツールです。 EGが4つの思考特性と3つの行動特性で人の傾向を捉えるのに対し、HBDIでは思考様式を以下の4つのゾーンに分類します。 HBDIの4つのゾーン HBDIでは、どのゾーンの思考をより自然に、あるいは優先的に使う傾向があるかをスコアで可視化します。 実際の診断結果から読み取れる傾向 2016年2月29日に私が受けたHBDIの診断結果では、以下のスコアが出ました: この結果から、特にDゾーン(概念的・創造的思考)が非常に高く、最も優先される思考スタイルであることが分かります。HBDIでは、スコアが67点以上を「優勢領域」、34点〜66.5点を「使用可能領域」、33点以下を「回避領域」と定義しています。 私の場合、BCDの3つが優勢領域に入り、特にDゾーンが100点を超えているため、創造的思考が最も強い傾向にあります。一方、Aゾーン(論理的・分析的思考)は使用可能領域にあり、必要に応じて使えるものの、好みとしてはやや低めです。 このプロファイルは、全人口の中でも約10%程度しか見られない比較的珍しいタイプとされており、非常に多彩な思考スタイルを持っている可能性が高いとされています。 多様性とバランスのある思考スタイル この診断結果から読み取れるのは、以下のような特徴です: これらの異なる性質の思考モードをバランスよく、しかも高いレベルで使いこなせる可能性があります。人事、コンサルタント、教育者、セラピストなど、多角的な視点と対人スキル、創造性が求められる役割で力を発揮しやすいタイプです。 一方で、どの領域にも強く関心がある分、一つの専門分野に深く特化することが難しい場合や、周囲から「何を考えているのかつかみどころがない」と思われる可能性もあります。 第6章:簡易診断結果から読み取れる自己理解 2025年9月28日に行った簡易診断の結果では、以下のようなスコアが得られました: この結果から、私はまず何よりも人間関係や他者の感情、チームの調和といったC領域の要素を非常に重視する傾向が強いことが分かります。共感力が高く、人と協力したりサポートしたりすることに喜びを感じるタイプです。 加えて、D領域も高得点であることから、新しいアイデアを生み出す力や、物事の本質・全体像を捉える力、未来志向の思考も私の大きな強みであるといえます。 自覚と傾向の理解 Cタイプが満点、Dタイプも高得点という結果から、私は人と話すことや新しいことを考えることが好きであるという自覚があります。 一方で、A(論理)とB(計画)のスコアが相対的に低いことから、データや事実に基づいた客観的な分析や、細かい手順やルール、スケジュールに厳密に従うことに対しては、CやDほどのエネルギーを感じない、あるいは苦手意識がある可能性もあります。 たとえば、会議では感情的な側面や新しい可能性については活発に発言する一方で、具体的な実行計画の詰めやリスク分析になると、興味が薄れてしまう場面もあるかもしれません。 こうした傾向をしっかりと自覚しておくことは、自己理解を深めるうえで非常に重要です。 第7章:コミュニケーションギャップの実例と異なるタイプとの関わり方 前述のように、約49%の人が職場でのコミュニケーションギャップに悩んでいるというデータがあります。これは、思考スタイルの違いが原因で、相手の言動が理解できなかったり、誤解が生じたりすることが多いということを示しています。 たとえば、CやDタイプ(感情的・創造的思考)が得意な人が、Aタイプ(論理的思考)やBタイプ(計画的思考)の人と仕事をする場合、次のようなすれ違いが起こる可能性があります。… Continue reading 思考特性と行動特性

Published
Categorized as 未分類

行動経済学から考える 認知 状況 感情

行動経済学について 私たちは普段、自分がしっかり考えて物事を選んでいると思いがちです。しかし、後になって「あれ?なんであんなことをしてしまったんだろう」と不思議に思うこと、意外と多くありませんか? 経済は、私たち一人ひとりの日々の選択や行動の積み重ねによって成り立っています。だからこそ、その行動の主体である「人」の心の動きを理解することがとても重要になります。 行動経済学の世界では、私たちの意思決定がなぜ常に合理的とは限らないのか、その背景にある思考の癖や感情の影響、そして目に見えないメカニズムに注目します。難解な理論ではなく、日常の中で「なんでこんな選択をしたんだろう?」という疑問の裏にある仕組みを解き明かしていくのです。 私たちの思考には、基本的に2つのモードがあります。行動経済学ではこれを「システム1」と「システム2」と呼びます。 システム1は直感的なモードで、素早く自動的に判断を下します。努力をほとんど必要とせず、例えば目の前にボールが飛んできたときにとっさに避けるような反応です。 一方、システム2は熟考モードで、注意とエネルギーを使ってじっくり考える働きをします。複雑な計算や論理的な文章の理解などに使われます。 この2つはうまく連携していますが、疲れていたり時間に追われていたりすると、システム1が前面に出やすくなります。システム1の判断は効率的ですが、認知バイアスと呼ばれる思考の癖によって、非合理的な選択をしてしまうことがあります。 たとえば有名なものに「サンクコスト効果(埋没コスト)」があります。これは、すでに費やした時間やお金、労力を理由に「今さらやめられない」と感じてしまう心理です。プロジェクトや人間関係がうまくいかないと分かっていても、過去の投資を取り戻そうとしてさらにリソースを注ぎ込んでしまうのです。しかし冷静に考えれば、これから使う時間やお金は、もっと有益なことに使えるかもしれません。 ここで重要になるのが「機会コスト」という考え方です。サンクコストにとらわれると、未来のより良い選択肢を見失ってしまいます。たとえば、面白くないと分かっている映画を「チケット代がもったいないから」と最後まで観てしまう。あるいは、自分に合わない習い事を「月謝を払っているから」と惰性で続けてしまう。こうしたことは、日常の小さな場面でもよく見られます。 次に紹介するのは「確証バイアス」です。これは、自分の信念や考えを裏付ける情報ばかりを無意識に探してしまう傾向です。たとえば、欲しい商品があると、良いレビューばかりが目に入り、悪いレビューは「たまたまだろう」と無視してしまう。政治的な意見でも、自分の立場に合ったニュースばかりを信じ、反対意見には耳を貸さなくなる。これも典型的な確証バイアスです。このようなバイアスが強くなると、視野が狭くなり、客観的な判断が難しくなります。 さらに、私たちの選択は「状況」にも大きく左右されます。自分で主体的に決めているつもりでも、実は状況が意思決定をデザインしていることが多いのです。代表的なのが「フレーミング効果」です。これは、同じ情報でも伝え方や見せ方(フレーム)によって、受け取り方や判断が変わってしまう現象です。 たとえば、ある手術の説明で「成功率90%」と言われるのと、「失敗率10%」と言われるのでは、どちらが安心しますか? 内容は同じでも、前者の方が安心感がありますよね。これは、ポジティブな側面を強調するか、ネガティブな側面を強調するかの違いです。 また「おとり効果」という選択のデザインもあります。たとえば、カフェでSサイズが300円、Lサイズが500円だと迷いますが、そこにMサイズ480円が加わると、「それならLサイズの方が得だ」と感じやすくなります。これは、Mサイズという「おとり」があることで、Lサイズが相対的に魅力的に見えるようになる仕組みです。私たちの脳は、絶対的な価値を評価するのが苦手で、比較によって判断しやすくなるという性質があります。これを利用したのが「おとり効果」です。 そして3つ目の要素が「感情」です。感情の影響は非常に大きく、特に行動経済学で注目されるのは「エモーション(喜怒哀楽)」だけでなく、「アフェクト」と呼ばれる瞬間的で微細な感情反応です。たとえば、何かを見たり聞いたりした瞬間に「なんか好き」「なんか嫌だ」と感じることがあります。このアフェクトは、直感の羅針盤のように働き、私たちの判断や行動のショートカットになります。これを「アフェクト・ヒューリスティック」と呼びます。 たとえば、ある企業の名前に良いイメージがあると、深く分析する前に「この株は買いだ」と判断してしまう。逆に、ネガティブな印象があると、リスクを過大評価してしまうこともあります。ただし、アフェクトは必ずしも悪いものではありません。ポジティブな感情は、視野を広げ、創造性を高め、新しいことに挑戦する意欲を引き出す力もあります。これは「拡張形成理論」と呼ばれています。 大切なのは、自分が今どんな感情状態にあるのかを**自覚すること(メタ認知)**です。「今ちょっとイライラしているから、このテーマに否定的なのかも」「気分がいいから楽観的になりすぎているかも」といったように、自分の感情が判断に与える影響を客観的に見ることができれば、よりバランスの取れた意思決定がしやすくなります。感情を無理に抑えるのではなく、自覚してうまく付き合うことが大切なのです。 このように、私たちの選択は「思考の癖(認知バイアス)」「状況のデザイン(フレーミングやおとり効果)」「感情(特にアフェクト)」という3つの要素に大きく影響されています。その結果、私たちの意思決定は、理想的な合理性からしばしば逸れてしまうのです。 人間は、予測可能な非合理性を持つ存在です。完璧な合理性を目指すのではなく、「人間ってそういうものなんだ」と知ることが大切です。自分の意思力を過信したり、周囲の情報に流されたり、機会を逃すことを極端に恐れたりする。まずは、自分のパターンに気づくことが第一歩です。 これらのメカニズムを知ることで、「これはサンクコストの罠かも」「この選択肢の提示、フレーミング効果を狙っているな」と、一歩引いて状況を眺めることができるようになります。知っているだけで、無意識の力に振り回されることを減らせるのです。そしてその知識を、自分自身や周りの人のより良い選択のために活用していくことが目指すところです。 前述の「おとり効果」の話で、私たちは何かと比較することで判断しやすくなるという脳の性質に触れました。 そこで、最近の複数の選択肢の中から比較して決断したことを思い出してみます。 それは大きな買い物かもしれないし、仕事上の選択、あるいは今日の夕食のメニューかもしれません。そのとき、もし選択肢の数や種類が少し違っていたら、同じ選択をしていただろうか? 自分の選択を疑うわけではありませんが、その背景を知ることで、見え方が変わってくるかもしれません。 私たちの非合理で、でもとても人間らしい選択の裏側にある世界、その一端でも、感じてみることは、視野をひろげることの大事さにつながっていきます。 行動経済学で取り上げる理論となる 自制バイアス 自分を過大評価する 埋没ユスト 一度やったら、効果なくてもやり続け、時間を消費する 機会ススト 時間を費やしてしまい、本来できることができなくなる。 ホットハンド効果 ある事象が連続して起こると、同じことが起こる 確証バイアス 何かを思い込んだら、それを証明するばかりに根拠を集める 真理の錯誤効果 絶対にあり得えないと思いつつも、降り返り見たり聞いたりすると信じてしょう 疑わしいと思ったら真偽、真相を検証する。 五感 概念メタファー 人の上に立つ、出世する優位性といった抽象的な概念を具体的なもので比喩することで人が理解しやすくなる認知の枠組み 時間 双曲割引モデル 将来の大きな利益よりもすぐに手に入る利益をさせてしまう認知のクセ 人は時間を非合理に認知している。 解釈レベル理論 考えることが先になるにつれて思考は抽象的になっていく 快楽適応 人は何が起こっても繰り返しベースラインの幸福度に戻る デュレーション・ヒューリスティック 期間や時間を、直感的、時間的に判断してしまう。 サービス内容よりもかかった時間で評価してしまう。 状况… Continue reading 行動経済学から考える 認知 状況 感情

Published
Categorized as 未分類