ブランド力を高める

251229 ブランド力を高める

企業が永遠のテーマとして掲げる「ブランド力」これについて説明していきます。

現在では、これほどまでに「ブランド」や「付加価値」という言葉が重要視されているのか。これには、単純に良いロゴを作ることや、キャッチャーなコピーを考えることや、そのような話ではありません。組織がどうあるべきか、その根幹が問われていることになります。

企業がブランディング戦略をどのように考えるのか。そして、経営、トップ、またはリーダーの情熱やリーダーシップ、それから社員の内なる力を引き出すインナーブランディングに関連していきます。多くの企業が自社の強みを一貫したメッセージとして伝えられていないという壁にぶつかります。

ブランドバリューチェーンについて、これはブランド構築のプロセスを分解して、自社の課題が一体どこにあるのかを可視化するためのフレームワークです。ブランドを形作る価値の源泉を大きく,3つの柱で捉えていきます。専門価値、人材価値、社会価値のの三つです。

専門価値は商品やサービスの独自性や優位性であり、いわゆる本業の強さになります。

次に人材価値です。これは従業員のスキルやエンゲージメント、つまり人の力です。

そして最後に、社会価値。企業の社会貢献性や存在意義。最近ではパーパスに近い概念です。多くの企業は、技術力、つまり専門価値は高いということを一点で突破しようとありがちです。しかし、それだけではもろくなってしまいます。

例えば、素晴らしい技術を持っていても、それを支える社員のエンゲージメントが低ければ、つまり人材価値が低ければ、いずれ技術は陳腐化して、人は離れてしまいます。逆もあります。社員の結束は固いけれど、社会的な意義を見出せない事業であると、働く誇りを持つことは難しくなってしまいます。

大切なのは、これら3つが企業のビジョンという一本の指針で連なっていくことであります。この一貫性こそが、顧客の心の中に、あの会社らしいという揺るぎない信頼感を築き上げていきます。つまり、ブランドづくりは、外に広告を打つ前に、まず社内に向けて自分たちの行動指針を作るような作業になります。専門と人材と社会という三権分立を、ビジョンという行動指針で束ねていきます。

その行動指針であるビジョンを制定して、その精神を組織全体に浸透させることは、誰の役割なのでしょうか。それを表すことが、経営トップ、またはリーダーが変われば、組織も変わるという、かなり強い意志です。

ブランドバリューチェーンは、戦略的な設計図のようなものであり、声高に叫んでいく経営トップまたはリーダーの本気というエンジンがなければ、1mmたりとも前進はしていきません。そのような関係性があります。経営トップがこの人は本気だという姿勢を見せることが最大の説得力になります。本気というのは、大声で叫んでいても伝わるものではありません。

経営トップがやるべき具体的な3つの行動があります。

1つは、会社の未来像を自分の言葉で語り続けることです。借りてきたような言葉ではなく、時にはかっこ悪くてもよく、自分の内から出た言葉で語ることが大切になります。

2つ目は、学びの機会をおろそかにせず、メンバーの成長に投資することです。口先だけではなく、有り金を使って社員の成長にかける姿勢を見せることが大事になります。

そして3つ目が、社員とのコミュニケーションを諦めない忍耐力です。コミュニケーションの一丁目1番地は、相手としっかりと向き合うことであります。これは、都合の悪い話から逃げないという覚悟の表明でもあります。

しかし、経営トップまたはリーダーが、そこまで本気でビジョンを語っても、それが現場の社員一人一人にまで浸透しなければ意味がありません。浸透させるプロセスについて、具体的な方法としては、インナーコミュニケーションまたはインナーブランディングとなる手法を発揮していきます。呼び方は違いますが、目指すところは。同じになります。

経営トップのエンジンから発揮される生み出した熱量を、どのように組織の隅々までに伝えていくか、伝わっていくかということが大事になります。

インナーコミュニケーションには、6つのステップで整理されます。認知、理解、共感、実践、評価、定着。

これは。ロジカルな話になりますが、ここで大事なことは、共感性を生むということです。心から共感して、企業がコントロールできるようになります。説明だけでは、共感は生まれません。

カルチャーブックやビジョンマップを作成して、ぼんやりしていた会社の思いに、くっきりとした輪郭を与えていきます。カルチャーブックは、企業の行動指針をまとめた冊子でありますが、それを配布しただけでは、ただの分厚い紙切れになってしまいます。重要なのは、その作成プロセスに社員を巻き込むことです。ある企業の例で、素晴らしいカルチャーブックを作ったのに、半年後には誰も読んでないという実情もあります。原因は、そこに書かれた挑戦を称えるという言葉とは裏腹に、実際に挑戦して失敗した社員が評価されない人事制度が残っていたからです。言葉と実態が乖離してしまっていました。

ビジョンマップというのは、社員一人一人が、会社がこうなったらいいなとか、自分はこうなりたいという夢や希望を付箋に書き出して、大きな模造紙に張り出すワークショップです。これを行うと、経営トップが思っている会社の未来と、社員が望む未来の間に、驚くほどのギャップがあることがわかったりします。そのギャップを、対話を通じて埋めていくというこのプロセス自体が、社員にとって自分もこの会社を作っている一員なんだという強烈な当事者意識、つまり共感を育むわけです。

ただビジョンを共有するだけではなく、そのビジョンが実現した先に、自分の幸せな未来もしっかりと描けるか、そこまでつなげることができて、初めて人は自ら動こうと思うのかもしれません。

それでも、まだハードルはあります。ビジョンに共感しても、日々の業務に追われる中で、新しい挑戦をすることに恐れてしまう。失敗したら評価が下がるかもしれないと思ってしまう。だからこそ、変化を恐れず、失敗を許容する文化の醸成と、そのための人事制度の刷新が不可欠になってきます。

これには、経営トップの覚悟が再び問われることになります。企業では、新しい挑戦を評価しようとしても、結局は短期的な売上目標を達成した社員の方が、高く評価されてしまいがちです。評価項目にいくら売上を上げたかだけではなく、どれだけ価値ある失敗をしたか、といった指標を加えるくらいの抜本的な変革が必要になります。価値ある失敗の数、それくらいやらないと、誰もリスクを取らなくなるものです。

デジタル化の台頭により、この覚悟の重要性を強調していきます。デジタル技術の陳腐化は、あまりにも早いものであります。だから、一度やれば十分というものではありません。経営トップが、自分はデジタルに疎いと認め、若手の意見に耳を傾け、彼らに権限を委譲する。そして、彼らの失敗を許容する。これができない企業は、あっという間に時代に取り残されると警鐘を鳴らしていきます。意思決定の難しさもあります。

情報が多すぎても少なすぎても判断は鈍ります。過去の成功体験が、今の正しい判断を邪魔することもあります。そこで、解決策として提案されるのが、仮説思考の訓練であります。これは、単に思いつきで行動することとは違います。例えば、新しいAI技術を使えば、顧客サポート業務をどのように効率化できるかという仮説を立てる。次にそれを,まとめ上げて、社内やお客様に話してみるのです。すると、そのアイデアは良いけど、リスクはないかとか、それなら、このような技術の方が良くないかとか、フィードバックがもらえます。この小さな検証を繰り返すことで、仮説の精度が徐々に上がっていきます。大きく失敗する前に、小さく軌道を修正していき、それが変化の速い時代における意思決定の方法でもあります。

ブランドを強化するブランディングというのは、結局自分たちは何者で、どこへ向かうのかという一本の壮大な物語を、社内外に対して手を変え、ひねを変え、語り続ける営みでもあります。そして、その物語は、経営陣だけで作るのではなく、社員一人一人の小さな挑戦や、失敗して、そこからの学びによって、より豊かになっていくものでもあります。その物語の核となるのが、ブランドパーパス、つまり事業の存在意義であります。かつては、「顧客のため」という視点が中心でもありましたが、現在では、それだけでは足りません。社会や地域、世界規模といったより広い視点に立って、我々が存在する意味は何かを語る必要があります。

このパーパスが明確であればあるほど、社員は日々の業務に大きな意味を見出すことができます。その物語をより具体的に組織の形として示していくのが未来の組織図という考え方にもなります。企業のストーリーには当然始まり、つまり創業のきっかけがあり、目指す姿があるわけです。この目指す姿の絵、つまり未来のビジョンを、具体的な組織図のレベルまで落とし込んで描いてみることです。五年後、十年後、我々の会社はどんな部署ができていて、社員はどんな役割を担って、どのような表情で働いているのか。この未来図を共有することで、経営者も社員も現在地からたどり着くとこまでの道のりを具体的にイメージできるようになります。自社のストーリーを他人ごとではなく、自分ごととして語れるようになるということです。それができれば、どんな時代や環境の変化があろうとも常に社会や顧客が満足する付加価値を提供し続けられることになります。そのような企業は、永続への道を開くことができます。これが、戦略論とリーダー論における共通した結論ということになります。

ブランディングとは、まず、経営トップがエンジンとなって未来を語る覚悟を決めることから始まります。そして、その情熱をインナーブランディングという仕組みを通じて組織全体に浸透させ、社員一人一人が挑戦と,価値ある失敗をできる文化と評価制度を整える、その結果として生まれる一貫した行動こそが、社会からの信頼と共感、つまり、本物のブランド力を築き上げる、ということになります。

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *