魅力ある会社づくり

251102 魅力ある会社づくり

魅力ある組織を作り、多くの人は働きがいがあって、引き寄せられるような組織を求めています。その魅力について説明していきます。人が引き寄せられるのは、魅力に引き寄せられるからであります。多くの人は、雰囲気の良さや、福利厚生など、思い浮かべるかもしれませんが、魅力は、単純に心地よさだけではなく、将来があり、自分は物心両面の豊かになれるという確信があり、この確信を持てるということがポイントであります。漠然とした期待感ではなく、かなり強い信頼感であり、ここでなら大丈夫である、成長できる、という手ごたえをえることになります。

将来への希望、それから、経済的、精神的な豊かさ、その両方が得られることが、魅力の源泉であります。

雰囲気の良さだけではなく、豊かになれると信じられることが大事であります。働く人の視点から見て、裁量が与えられることや、自分のしたいことができる、また自分の価値観に合っている、ということが大事になります。無心両面の心の豊かさ、つまり精神的な満足感や充実感、これを得るためには、まずは裁量が与えられるということが大事になります。仕事を任されるということ以上に、組織から信頼されるという証であり、自分の考えや判断を生かして、主体的に仕事を進める自由があるということです。これが、自己考慮感や,責任感につながっていきます。

自分の意思で、仕事に関わるということが大事です。これが不足してしまうと、どうしても「やらされ感」という気持ちが出てきてしまいます。「自分のしたいことができる」ということにおいて、仕事の内容そのものに対する興味や情熱、それから、それを通じた自己実現への欲求、これを満たしていくものになります。全ての業務が希望通りとはなかなかいくこともありませんが、自分の強みや関心を活かせる領域があり、挑戦したいと思える課題に取り組める機会が増していけば、仕事に対する前向きな気持ちが大きくなります。自分のエネルギーを仕事に注入して、そして自分の価値観に合っているか、感じるようになります。

組織が目指す方向や、大切にしている文化、あるいは働き方そのものが、個人にとって重要だと考えます。価値観の一致、例えば、社会への貢献をすごく強く意識している人が、短期的な利益だけを追求するような組織にいたら、たとえ待遇が良くても、どこかで違和感を持ち、満たされないという気持ちが感じるかもしれません。逆に、組織の理念や事業内容に深く共感できれば、それが困難を乗り越える支えになり、日々の業務に意味を見出す動機になったりします。経済的な条件だけではなく、自分の判断が尊重され、裁量、興味や関心に合った仕事ができて、さらに組織の目的や文化に共感できる価値観がそろって、初めて、精神的な豊かさ、ひいてはここで働き続けたいという魅力につながっていきます。

経営者の役割については、働く人の立場に立って考えたら、魅力は作られるものです。経営者は常に働く人のことを考えなければなりません。これは、努力目標ではなく、必須の責務として持たなければなりません。具体的な行動としては、付加価値の高い仕事を追求して、そこで得た利益を分配するということです。そして、労働分配率をいかに高くするか、本気で考える必要性があります。単に給料を上げるというだけではなく、会社が生み出した付加価値の全体のうち、どれだけの割合を人件費として従業員側に分配するかということ、その経営判断そのものを意識を高めることが大事であり、無心両面の豊かさへの直結する話になります。

これを怠る経営者は、働く人から見て、魅力がないと、見下されてしまいます。そして、重要であることは、考え方の順番です。経営的にも、精神的にも、豊かにしてあげたいという思いから、仕組みが生まれてくるものであります。経営者は、社員の幸福を真剣に願う強い意志、そして思いがあって、それが具体的な制度設計、公正な評価、適切な報酬、そして労働分配率の向上へといった仕組みにつながって考えていかなければなりません。口先だけの従業員第一ではなく、本気の思いが行動や制度に表れて、それで初めて人は信頼して確信を抱くことになります。従業員を豊かにすることが、短期的なコストよりは、長期的な組織の繁栄の基盤構築に至るまで、つながっていきます。従業員一人ひとりの物心両面の豊かさを追求すること自体が、結果として、組織全体の持続的な成長や発展の原動力になっていきます。

経営者の能力としては、会社がなぜ世の中に必要なのかを語る力、いわゆるプレゼンテーション能力も魅力に関わっていきます。リーダーシップの質そのものが組織の魅力を根幹から支えていきます。経営者自身の能力が高いこと、自分が稼いで、自分の才覚である程度見通しを、自分がどれくらい持てるかが必要であります。これは、事業を成功させて、利益を生み出して、それを分配するための大前提であります。単純に稼ぐだけではなく、自社が社会に対してどういう価値を提供しているのか。この組織が存在する意義があるのか。従業員と社会に向けて情熱を持って語れる力。これが従業員の共感や誇りを,醸成して、この会社で働くことの意味を与えていくことになります。

「事業を成功させる能力」と、その意義を語って共感を呼ぶ力、それに加えて、利益分配への意識、そして、それは経営者一人の話ではありません。幹部も含めて、優秀であることが、魅力的な会社ということも必要です。幹部も、経営者のビジョンを理解して、それを各部門で具体化できる。そういう有能なマネジメントチームの存在も不可欠であります。現場でのリーダーシップを発揮して、部下を育成して、公正な評価を行うことで、経営者の思いが組織の隅々まで浸透して、従業員の日常的な経験として形になっていきます。これらが一体となって初めて、組織全体の魅力、その確信が生まれるということになります。

社員にとって会社の将来性に向けて、自分自身の毎年毎年の能力開発を向上させて、自分のマインド、ノウハウ、スキルが高まって、それに合わせて報酬もポジションも,上がっていけるという見通しが持てるかどうかが大事になります。これは将来性があって、豊かになれるという確信につながります。現在の待遇や仕事内容に満足している、または十分でないと考えるだけではなく、この組織にいれば、自分は着実に成長できる、そして、その成長がしっかりと認められて、報酬や役職といった具体的な形で報われる、そういう明確な見通しが持てるということが大事になります。これが、人を惹きつけて、組織への貢献意欲を高め続けることに、とても大事になります。まさに見通しが立つという感覚です。自分の努力が、成長が将来につながっていくのかが見えないということでは、やはり不安になり、モチベーションも維持しにくいものです。キャリアパスが示されていることや、必要なスキルを習得する研修機会が提供されることや、定期的なフィードバックを通じて、自分の現在値と次のステップが明確になる。そのような具体的な仕組みが、この見通しを支えていくことになります。

年功序列のような固定的な制度ではなく、能力や成果に応じて、早期に責任ある立場に挑戦できる機会があることも、意欲的な人材にとって強い魅力につながります。それに見合った評価や待遇が連動しているという見通し。これもまた物心両面の豊かさに関わってきます。スキルや経験といった心の側面が向上して、それに伴って報酬や地位といった側面も向上していくということが期待されます。

これまで、裁量、価値観、経営者の責任と利益分配、リーダーシップ、その成長の見通しと様々な要素を見てきました。これらを統合して、魅力的な組織の全体像について、どのように言えるか、考えていきます。個々の要素が単独で存在するのではなく、相互に連携して、一つのシステムとして機能している状態、それが魅力的な組織であります。

精神的にも経済的にも報われる会社で働きたいと人は思っています。働く人は、給料だけとか、やりがいだけとか、要素を切り離して考えているわけではなく、仕事を通じて得られる経験の総和、つまりトータルな面で精神的にも、経済的にも満たされたいという思いを持ちます。その総合的な期待に応えることのできる組織,それが真の魅力的な組織だということです。

何事も、人にしてほしいと望むことを、他の人にも、そのようにしなさい。自分が人々にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたも他の人にそのようにしなさいという考え方を持って、いわゆる「黄金律」という考えを目指して、考え方を豊かにしていかなければなりません。自分が従業員だったら、または経営者だったら、どう扱われたいか、何に魅力を感じるのかという視点に立ち返って、組織を設計して運用していく、その立場に立って考えるという極めてシンプルで、普遍的な原則こそが、実は魅力的な組織を作り出す上で、確信になるというものであります。

思いを実現する経営者が従業員に対して、また、従業員同士が互いにこの原則を基本的に捉えることが、結果として組織全体の魅力、つまり、個人の無心両面で豊かになれるという確信を高めていくことになります。

魅力というのは、単なる「満足」だけではなく、将来にわたって物心両面で豊かになれるという強い確信であります。そしてその確信は、個人の裁量や価値観が尊重される環境で生み出し、成果が公正に評価され、価値が公平に分配される仕組み、特に労働分配率への意識であります。それから、自分の成長や、それが、報われる明確な見通し、そして何よりも、従業員の幸福を本気で願って、それを実現する能力と、意思を持ったリーダーシップ、これが相互に連携し、全体として生まれるものであります。

組織が利益の追求だけを目的とするのではなく、そこに関わるすべての人々、従業員はもちろん、お客様、取引先、地域社会も含めて、その人たちを物心両面で豊かにすることを第一の存在意義として捉え直し、自分自身の周りで具体的にどのような行動や仕組みの変化が考えられるか、考えていきます。

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