250924 人を動かす 心を動かす原則
「人を動かす」について考えます。人間関係を良くしたり、誰かに気持ちよく協力してもらったり、そういう場面で「役立つ知恵」を持たせます。これは、深い人間関係の理解に関わる話であります。その本質的な考え方や洞察について説明していきます。
この説明の特徴は、原則を提示していることにあります。つまり、状況に応じて使い分けをできるように、小手先の技というよりは、もっと普遍的な。人間関係の土台になるような考え方表面的な操作ではなく心からのつながりをどう築くかこの話において説明していきます。
まず最初に強調するポイントが、話すことだけではなく聞くことの力が大事だということです。相手の話を最後まで口を挟まずに聞けること。たとえ、同意が得られない内容であっても、あるいはすぐには理解できなくてもまずは受け止めようという姿勢が大事になります。聞くという行為は、相手に対する尊重であり、相手を受け入れる最もわかりやすい形になり、お互いで尊重の気持ちが高まります。あなたの考えには価値があります、あなたの存在をしっかりと認めますよそのような無言のメッセージが含まれます。人は、自分が受け入れられているという感じになると、心理的な壁が低くなります。そして、心を開きやすくなり、防御する必要がないと感じるようになります。受け入れられるという安心感が、相手の態度を変えるきっかけになります。
次に挙げることは、相手の自己重要感を満たすことであります。つまり、相手に,自分は大切な存在なんだと感じてもらうこと。それが自己重要感であります。言葉にするのは簡単かもしれませんが、実際となると難しい気もします。うわべのお世辞じゃなくて、心からの言葉が必要であります。ポイントとなるのは、具体性と,真実性が必要になります。例えば、意見をもらうときに、「私が見落としていた視点で本当に助かりました。」みたいな感想をあげるとよいです。具体的に何がどう良かったのかを伝えてあげることが大事です。そして、それはやっぱり心からそう思っている必要があります。人は本心からの言葉かどうかを意外と敏感に感じ取ります。根底にあるのは、やはり,相手への関心と敬意です。誰しもが持っている、認められたいという欲求に誠実に応えることが、相手の心を動かす鍵になります。
そして次は、相手の利益を示すことです。自分がしてほしいことを頼むだけでなくて、これをすると、あなたにはこんないいことがありますと、相手目線でメリットを提示してあげることが大事です。それを手に入れるための具体的な道筋を示すことで、相手が自発的にやりたいと思えるようにします。これは、かなり相手の立場に立つ共感力が試される部分でもあります。自分の欲求を通すという発想から、相手の欲求とか関心を満たす、お手伝いをするという発想への転換が求められるわけです。これをやれば、あなたは、あなたが持っている問題を解決できますよ。あなたが目指している目標に達成に近づけることができますよというように説明してあげると良いです。ここで注意したいのは、相手にとってそれが本当に利益であるかどうかということです。自分が,利益だと思って思い込んでいるだけでは、やっぱり相手の心には響きません。そのため、相手が何を価値あるものを感じているのか、日頃から理解しようと努めるということが前提になります。相手を深く理解しようとする姿勢が、ここでも重要になります。
人間関係そのものを良好に保つためのより具体的な行動についても説明していきます。人に好かれる原則とも言います。相手に対して純粋な関心を持つこと、外見を整えること、そして笑顔で接することです。笑顔には価値があるとよく言われますが、これは一見当たり前のようなことであるが。意識しないと意外とできてないことかもしれません。また、相手の名前をきちんと覚えて会話の中で使うこと。相手の関心事を知ってその話題に触れること。心からの称賛を伝えること。これらは一つ一つは小さな行動かもしれませんが、積み重ねることで、あなたを大切に思っていますよというメッセージになって、信頼関係の強固な土台を築いていきます。地味でありますが、人間関係における複利のような効果があると言えるかもしれません。ここでもやはり話をよく聞き、相手を理解するという基本がすべての行動の質を高める鍵になっていると言えます。関係性の土台作りであり、人間関係を高めていく効果でもあります。
現実には、どれだけ良い関係を築こうとしても、意見が食い違うこと、対立してしまうことあります。その時に、ちょっとした意外なアプローチで議論をしないこと、も必要です。議論をしない議論であります。特に感情的な言い争いというのは多くの場合、相手をさらに頑なにしてしまうと、本質的な解決にはつながりにくくなってしまいます。目的が相手を論破にすることになってしまい、たとえそれが正論であっても相手は反発したくなります。人は自分の間違いを他人から,指摘されるのはやはり嫌がります。相手の間違いを直接指摘したり批判したりすることを避けるように進めていきます。
ではどうやって合意に至るのか説明します。もし自分が間違っていたらそれを素直にしかも迅速に認めることです。それにより、相手の警戒心を解いて対話の扉を開くきっかけになります。そして会話の進め方にも特徴があって,相手が「はい」と答えられる、同意できる点から話を始めることが有効です。共通の土台を確認することで心理的な距離を縮める。それから、できるだけ相手に多く話をさせる。自分の意見を主張するのではなく質問を通じて相手に考えさせて、あたかも相手自身が結論にたどり着いたかのように導く。自分で見つけたと感じたアイデアには、人は納得しやすいものですから。これはオーナーシップ感覚を刺激するテクニックとも言えます。
自分で見つけた結論なら受け入れやすくなります。さらに相手の言葉の裏にある感情にも気づきます。例えば怒りという表面的な感情の奥には、悲しみや不安といった裏の感情が必ずあります。表面的な言葉に反応するだけでなく、言葉の奥にある本当の気持ちを察してあげる。これはかなり高度なスキルが必要です。例えば、会議で誰かが感情的に反応してきた表面的な感情としても、その背景には自分の提案が軽視されてしまうのではという不安や、プロジェクトへの強い責任など、裏の感情があるかもしれないというそういう想像力が求められます。その根本にある感情に寄り添うことができれば表面的な対立を和らぐことが多いです。さらに美しい心に訴えかけるつまり相手の良心や,理想に働きかけることや競争心を刺激するというアプローチもあります。後者は使い方にもよりますが相手の動機付けのスイッチを押す方法として有効な場合もあります。要求するよりも相手の良心や理想に訴える方が気持ちよく動いてもらえる。これもまた相手への信頼がベースにある考え方です。
ここから、実践的な人を育て、成長を促すための原則について説明していきます。部下や後輩、あるいは自分自身の仲間との関係にも応用できます。この原則は人を管理するというよりは支援するエンパワーするという視点が強い特徴であります。例えば、褒める。これは注意とかフィードバックをする前に,まず相手の良い点や努力を認めることで相手が話を聞く姿勢を作りやすくするためです。あるいは命令ではなく依頼する。これは相手の主体性を尊重して、やらされる感じではなく、自分で決めていい、やっているという感覚を持ってもらうためです。他にも、自分の失敗談を話すことで親近感を高めたり、相手のプライドを傷つけないように配慮したり、特に良くないフィードバックは人前ではなく個別に伝えるといった配慮が重要です。そして、どんな小さな進歩でも。具体的に称賛することや相手の可能性を心から信じ期待を伝え、励ます。これらは相手の自信を育んで内なる力を引き出す働きかけと言えます。
これらの原則、全体を貫いているのは、罰とか強制によって人を動かすのではなく、相手の内側にある成長したい、貢献したいという意欲、つまり内発的動機づけに火をつけるという考え方であります。人が自ら進んで能力を発揮して,成長していけるような環境や関係性を作ることが必要になります。そして一方的におして、導くのではなく共に学び、成長し合える関係性を築くことが双方にとって豊かな結果をもたらすと価値観が根底にあります。単なる人を動かすテクニックというよりは、もっと根本的な人とどう関わるかという姿勢、あるいは哲学に通じます。
相手の話に真剣に耳を傾け、その立場や感情に寄り添って感謝や称賛を具体的に伝えて、無用な対立は避けつつも、建設的な対話を目指していきます。そして何より、相手の可能性を信じ、その成長を支援します。結局のところ、相手のことを深く理解しようと努めて、その上で,自分の行動を見つめ直し変えていくという一貫した姿勢がつながっていきます。つき焼き張りのスキルではなく、人間関係のOSをアップデートするような根本的な変化を促すものと言えます。時間もかかりますが、意識し続ける努力も必要ですけど、その分、気づける関係性の質問を大きく変わってくることになります。
以上で取り上げた様々な原則の中で日々の人間関係、例えば職場や仲間との、状況において完璧にやろうとしなくても良いのです。難しいと感じる原則をほんの少しでもいいから実践してみることが、これからできる小さな具体的な第一歩であり、小さな一歩を踏み出すことが大事です。
参考
人を動かす カーネギー 人間関係のレッスン