社会貢献の意義
社会貢献することの意義について説明をします。人間には2つの欲の種類があります。私欲と公欲です。私欲というのは、自分がいい思いをしたい、嫌な思いはしたくないという欲求であります。もう一つの公欲は、自分以外の人を喜ばせたい、嫌な思いをさせたくない、社会に貢献したいという欲求になります。このような2つの種類の欲があります。
公欲については、道を聞かれたら案内をします。この場合は、誰かに道を聞かれたら、その方に道を案内しようと思うのではないでしょうか。その方に道を教えたところで、自分にはメリットがないということは、分かっています。もうその方と二度と会うことはないでしょう。でもその方になんとかたどり着いてもらいたいと思って、道を丁寧に教えるわけです。この動機は何かというと、私欲ではないはずです。自分がいい思いをしたい、自分にメリットがある、だから道を教えよう、ではないはずです。その動機こそが公欲なのです。純粋にこの人に喜んでもらいたいという気持ちからやるわけです。あるいは友達の誕生日会を企画する。また、困っている人を見たら助けたくなる。また、社会の役に立つことにやりがいや意義を感じる。
このような動機が公欲になります。社会貢献活動を通じて、人の役に立てた、社会の役に立てていると感じると、公欲が満たされることになります。公欲が強い人ほど、ここに喜びを感じます。
社会貢献を通じて「人は公欲を満たす」というふうなことをやりたいという欲求があるわけです。この公欲というのは、人間に本能的に備わっているかなり強い力です。また、これからの時代、ますますこの公欲が注目される時代になっていきます。今の若い世代の人は、欲がないと世間一般は言ったりしますが、厳密に言うと、物欲とか出世欲はそれほど強くない人が多いのです。ただ、公欲が強がる人はかなり多いです。欲がないと、ひとくくりにいってしまうのは、いささか問題あることになります。公欲が強い若い人は、すごく多いのです。
若手の採用においては、募集広告で公欲を満たせるというところをしっかりと伝えていくことが、これからの時代は重要になっていきます。社会貢献活動の取り組みと思いPRできると、若年層や社会貢献の意識の高い人を引きつけることができます。採用に有利になります。また、社員は社会貢献活動に参加するということで、仕事に対する意義や会社員の信頼が高まり、モチベーションの向上、離職率の低下に寄与します。
このようなところが、いろんな会社で注目されています。「社会貢献活動を体験したい」、年に1回でも、そういう社会貢献活動に会社として参加する。社会貢献活動に取り組んでみる。そういうふうな体験ができると、従業員の方の満足度が,上がったりします。
また、社員同士が社会貢献活動という共通の目的に取り組むことで、社内コミュニケーションの改善、チームワークの強化にもつながります。環境保護活動や地域貢献活動に注力している会社もあります。採用と定着に好影響を与えています。
公欲の部分を、企業活動においてもかなり重視しています。これからの採用活動においては、この公欲の部分をしっかり出せるような募集広告が書けるかどうかというところが、非常にこれから人気の要因になってきます。
心理学者のマーティン・セリウマンは幸福の研究をしています。人の幸せを3つの要素に分解できると提唱しています。
快楽の人生 欲しいものを手に入れ、快楽を追求する
夢中を追求する人生 長所を生かし、没頭するそして
意味を追求する人生 人が社会の役に立つ
この3つの要素に人の幸せというのは分解できるということになります。快楽で得られるポジティブ感情には慣れがあり、持続しにくい。短期的で限界があることが分かっています。快楽は人生の満足度にあまり関係なく、意味の追求が最も強力であり、夢中の追求も強い関係があります。
幸福な人生とは、意味を持って夢中になれるものがある人生であり、快楽はその人生に花を添えるものであります。人や社会の役に立つということを通じて、自分自身の人生の満足度を高めいくことが、人間が持っている公欲を生み出すことになります。社会貢献活動は自分自身の満足度を高めることにもつながります。
ヘドニア(快楽)とエウダイモニア(幸福)という概念があります。ヘドニアは私的で目の前の短期的な欲求を満たすことです。エウダイモニアは、生きる目的、成長、社会貢献という概念になります。ヘドニアを好む人は、抗体や抗ウイルス物質を作る遺伝子の発現が少なく、エウダイモニアを好む人は、抗体や抗ウイルス物質を作る遺伝子の発現が多いとされています。抗体や抗ウイルス物質を作る遺伝子の発現が少ないというのは、病気になりやすいところでてきます。抗体に弱いというふうな傾向があると抗体薬をウイルス物質を作り入れる発現が多いということが病気にかかりにくいということになります。快楽を追求する人よりも生きる目的、成長、社会貢献、このようなところに強く意識を向ける人の方が免疫が強く、病気にかかりにくいということがあります。また、ヘドニアを動機として意思決定をする人は、うつ症状が増加し、エウダイモニアを動機として意思決定をする人は、うつ症状が減少する傾向にあります。ヘドニアを求める人よりも、エウダイモニアを求める人の方が、肉体的にも精神的にも健全になるということも明らかになっています。
仕事というのは2種類あります。マネーワークとライフワークです。マネーワークはお金を稼ぐために仕事をやる。社会的に仕事と言われているものは、マネーワークを指すことが多いです。収入を得るためには仕事、が必要です。もう一つがライフワークです。これは自らの価値観に基づき、将来にかけて行う取り組みであり、人生の満足度を高めるための仕事です。高い意義を感じる人生はどういう人生かというアンケートの結果、最も多かったのが、人や社会の役に立った人生です。経済的に余裕ができる人ほど、人生の意義を考え始めます。そのため、社会貢献に詳しい人は、富裕層や経営者から興味を持たれやすいというのもあります。ライフワークによりビジネス以外のコミュニティを持てると、新たな人脈、新たな自己実現の可能性が生まれます。
マネーワークは引退があります。60歳で定年退職。そこから定年延長をされる方もいらっしゃいますが、 60歳が基本的に定年退職です。人生90年あるわけです。今から60歳で退職して、その後30年何をやりますか。やれることがないとなると、これはかなり辛い30年になります。この30年生き生きと過ごすためにライフワークを持ってください。ライフワークは引退がありません。これは生涯をかけて行う取り組みになります。よって引退がありません。定年退職するまでにライフワークを持てている人と持てていない人では、退職後の人生が全然違います。この30年、人生の3分の1、その期間が全然違います。定年退職してからライフワークを見つければいいと思う人もいますが、ライフワークを見つけるのは、いろいろなコミュニティに入ったりして、いろんな知識や情報を集めたり、いろいろと肉体的にも精神的にも辛いことがあるわけです。元気なうちに着手したほうがよいです。40代や50代のうちからライフワークというのを一つ見つけておいてください。定年退職を迎えて、よし、これでライフワークに専念しようとなり、私は忙しいんだとなり、ライフワークで忙しいんだというかたちで、定年退職後の人生を迎えていけると、これは豊かな人生につながっていきます。
定年退職としてやることがない、人と会う用事もない、部屋にこもってテレビばっかり見て、スマホばっかり見て、出歩かない。こうなると足が弱まります。足が弱まると余計に出歩かなくなります。そして人とのコミュニケーションが減ります。人とのコミュニケーションというのは、脳にものすごい強い刺激があります。この刺激がなくなります。そうなるとボケやすくなります。ボケたら家族に迷惑がかかります。そうならないようになるべく元気に老後を過ごしていくことが大事になります。そのためにはライフワークを持つことがすごく大事になります。このライフワークの持ち方について、この社会貢献活動というライフワークを一つ持つ切り口であります。
そのような意味で、社会課題とむきあうと、これは無視できないとなり、これどうにか取り組みたいと思い、そういう社会課題の解決に向けて何かの活動を起こすというライフワークを持っていただくというのは、定年退職後の人生を豊かにする上ですごく大事なことです。もちろん趣味をやるというのも良いです。あるいは収入を生む仕事をやるというのも良いです。社会貢献というのは一つの切り口です。60歳以降も何らかのやることがあると、生涯かけて取り組むことがあるのだと、ライフワークを元気なうちにやるというわけです。そういった意味で、今回社会貢献法、お役に立てる部分も多いのではないかと思います。
これは自分に話になるという社会課題でありますが、ビジネス以外の活動やコミュニティが持てていないと、ビジネス価値イコール自分の価値と捉えます。ビジネスで成功を残していないと、自分を認められなくなると自己承認、自分を認める自己承認と言います。自己承認できていないと、その不満を他者から認めてもらうことで解消しようとし、他者を認めるより、他者から認められようとするためによい関係が築きにくくなります。
自己承認というのはかなり重要な要素です。この世で最も認めてもらいたい人、その人はお客様ではなく自分という人になります。自分という人に認めてもらえないと、ものすごく強い欲求不満を感じるようになります。この欲求不満を自分が認めてくれないものだから、自分という人以外の人、つまり他者。他者から認められることによって補おうとします。そうすると、他者を認めるよりも、他者から認められることを優先しようとします。他者の良いところや成功を見ると妬もうとします。そうなると両方の人間関係を築きにくくなります。自分で自分のことを認めることがすごく大事になります。自分で自分のことを認められないと自信を失います。他者と会うこと自体が卑屈になってしまいます。そうならないように,きちんと自分で自分のことを認めるということが大事になります。
自分の価値イコールビジネスの価値という価値観を持っている人は、ビジネスで成功を残せていないと、自信を持つことが難しくなるのです。自分の価値を感じられない。そうなりがちになるわけです。そうならないようにするには、このビジネスでこれ以上の昇進が望めない。事業に飽きたなど、目標を見失うと活力が大きく下がります。そうならないようにビジネス以外の活動やコミュニティを持ち、様々な視点から自分に価値を感じられるようになります。そういう意味でビジネス以外の活動にコミュニティを持つ社会貢献活動もその一つになります。
用事を持ち続けることの重要性があります。65歳以上の人の人口と人口の割合の推移について、 2025年は3677万人、 65歳以上の方は30%を占めています。2030年になりますと3716万人、 31.2%です。2035年には3782万人、 32.8%です。2040年には3921万人、 35.3%。どんどん65歳以上の割合が増えていきます。こういった人たちがどんどん増えていくので、定年退職後に用事がなくなります。そうなると出歩かなくなると足が弱る。足が弱るとさらに出歩かなくなる。出歩かなくなると運動量が減り、人との接点も減り、刺激が減ります。運動量と刺激が減ると認知症になりやすくなります。よって、今から65歳以上の人が増えるほど。65歳以上の人口が増えるほど、定年退職後の用事を持ち続けることの重要性も高まっています。その一つの手段がライフワークを持つことです。
そのような意味で、この社会課題というのを少しでも向き合うことが大事になります。