課題の特定
課題の特定とニーズの喚起
お客様に課題を認識していただかなければ、コンサルティングの必要性を感じてもらうことはできません。いかにして課題を特定し、それを解決することが重要であると気づいていただくかが鍵となります。
ここで「OATHの法則」という考え方をご紹介します。これは、顧客の課題意識の状況に応じて提案を変える手法です。
- Obliviousオブリビアス(無知): 課題を全く認識していない状況です。まずは課題を認識していただく必要があります。課題の特定
- Apatheticアパセティック(無関心): 課題は認識しているものの、解決する意思がない状況です。状況を整理し、なぜ解決すべきなのかという理由を説明します。解決すべき理由の明確化
- Thinkingシンキング(考えている): 課題を認識し、解決策を真剣に考えている状況です。解決後の未来を共有し、信頼を獲得して提案につなげます。
- Hurtingハーティング(困っている): すぐに解決したいほど困っている状況です。状況を整理し、未来を共有した上で速やかにクロージングを行います。
シンキングやハーティングの状態にある方は成約しやすいですが、世の中の多くはオブリビアスやアパセティックの状態にあります。こうした方々に課題を気づかせ、解決の必要性を感じてもらうためのコミュニケーションが重要です。
課題を特定するための5つのパターン
1. 未来実現型
これは名刺交換の際にも活用できます。単に仕事内容を伝えるだけでなく、一歩踏み込んだ「未来の質問」をしてみてください。「今後はどうされたいのですか?」と聞くのです。 相手が未来の展望を話してくれたら、「そのために今はどのような取り組みをされていますか?」「その方法でうまくいっていますか?」と深掘りします。そこで「実は人が足りなくて」といった悩みが見えれば、「それなら私にお手伝いできることがあります」と自然に提案できます。もし専門外であれば、専門家を紹介することで信頼関係を築くこともできます。
2. 問題指摘型
専門分野の観点から現状を質問し、対応が不十分であることに気づいてもらいます。 (例:資金繰りコンサルティングの場合) 「複数の銀行と取引はありますか? 1行だけだとリスクがありますよ」「資金繰り表は作成されていますか? 税理士は基本的に作成しませんので、ないと資金がショートする恐れがあります」 このように、専門家の視点で「ここはどうなっていますか?」と問いかけ、未対応のリスクを指摘することで、経理状況の診断へとつなげます。
3. 診断型(チェックリストの活用)
アンケートやチェックリストを用いて課題を明確にします。「無料診断」は応じていただきやすく、効果的です。 たとえば、離職対策のチェックリストで「口コミサイトを確認していない」「管理職に教育をしていない」といった項目にチェックがつくことで、お客様は「ハッ」とさせられます。 チェックがついた項目に対し、「どれが一番気になりますか?」と問いかけ、優先順位の高いものから「プレ目標(無料のお試し解決)」を提示して信頼を獲得します。
4. 洗い出し型(付箋グルーピング法)
組織を拡大する前などに、現状の課題をすべて書き出してもらう方法です。社長や幹部に付箋へ課題を書き出してもらい、それをホワイトボードでグルーピングします。 これにより、優先順位、担当者、期限を明確にするファシリテーションを行います。この手法だけで高い報酬を得ている若手コンサルタントも存在します。
5. セミナー型
セミナーを開催し、陥りがちな問題やそれを放置した失敗事例を話します。解決策と事例を示した上で、個別相談へとつなげます。 セミナー集客は5名前後の少人数で十分です。人数が多すぎると一人ひとりの集中力が下がり、個別相談にも対応しきれません。少人数で丁寧に信頼を構築し、実績をしっかりと伝えることが成約への近道です。
心理的リアクタンスへの注意
提案の際、最も注意すべきなのが「心理的リアクタンス」です。人は強制されたり命令されたりすると、本能的に反発したくなるものです。「この課題は絶対に解決すべきです」と強く言うと、「今は必要ない」と拒絶される可能性が高まります。
そのため、強制するのではなく「この課題についてどのようにお考えですか?」と質問を投げかけてください。相手が「解決した方がいい」と言える状況を作り、解決すべき理由や事例を情報として提供します。 「質問」を通じて、お客様自らが「解決したい」と言ってくれるようなやり取りを意識してください。こうした細かな言葉遣いやコミュニケーションの積み重ねが、成約率を大きく左右します。