コンサルティング総論
コンサルティングとは一体何かというと、相談に応じ、問題を解決する支援をすることをコンサルティングと言います。では、コンサルティングではない業務はどういうことなのかを考えてみます。非コンサルティング業務とは、言われたことを言われた通りにやることであり、これはコンサルティングではありません。それから、やるべきことが決まっている定型的な作業、これもコンサルティングではありません。
なぜコンサルティングをしたいのかという理由には、いくつかの側面があります。顧客から感謝されるクリエイティブな仕事がしたい、自分が持っている知識や経験を収益に変えたい、価格競争に巻き込まれずに高単価な報酬を得たい、あるいはAIやITによる自動化によって仕事を奪われたくないといった理由です。また、採用を有利に進めたいという理由から始める会社もあります。
採用においては、特に若い人の採用で「コンサルティングができるようになる」という募集広告を出すと、その言葉に惹かれる人が多いという傾向があります。「うちの会社に入るとコンサルティング能力も身につきますよ」というメッセージが響くのです。 しかし、そう書いてはあるものの、実際にはコンサルティングを行っていない場合、入社してみたものの全然やらせてもらえない、コンサルティング能力が身につかないということになり、結局辞めてしまいます。だからこそ、本当にコンサルティング事業を始めようと考えるのです。これまでの業務に加えてコンサルティングの要素も増やし、経験も積ませたい、それによって採用を有利に進めたいと考える経営者も多いです。
これから大きな影響が出てくるのがAIです。この5年で社会はまるで変わると思います。 Microsoft社のAI部門責任者であるムスタファ・スレイマン氏は、「ホワイトカラーの仕事のほとんどすべてが、今後1年から1年半以内にAIによって自動化される。過去15年でAIの計算能力は1兆倍に増加し、今後3年でさらに1000倍増える」と述べています。また、スタンフォード大学のエリック・ブリニュルフソン教授は、「AIは単なるツールではなく、蒸気機関や電気に匹敵する汎用目的技術であり、変革をもたらす。ホワイトカラーの仕事のタスクの大部分は、今後数年でAIによって再構成される」と指摘しています。さらにイーロン・マスク氏は、「AIは歴史上最も破壊的な力となる。やがて仕事が必要ない地点に到達するだろう。AIは何でもできるようになり、ホワイトカラーの知的労働における優位性は失われる」と述べています。
このように、今後のAIの進化により、世界は劇的に変わると言われています。
そのような中で、今どういう変化が必要なのでしょうか。 経営には流れというものがあります。経営方針を含め、その方針を実現させる戦略を考え、その戦略を実行し、実行する中で様々な作業が発生します。AIの進化により、この流れの下流にある「作業」の部分は、ほぼ自動化されます。そのため、ここだけで価値を提供することは難しくなり、つまりはお金が取れなくなります。そのような場合、作業以外の部分で価値提供をしていかなければなりません。つまり、経営の上流へ上流へと関与していくのです。そうした領域で価値提供をし、収益を得る方向にシフトしていかなければ、本当に仕事がなくなってしまいます。
下流の仕事は今後なくなりますが、士業、社外取締役、顧問などの上流の仕事は、高単価での需要があります。現在、様々な業界で勝ち組と負け組が明確に二極化されていると言われています。負け組はやはり「作業」の代行をやるだけの会社です。こうした会社は経営が厳しくなってきます。一方で勝ち組は「戦略提案」ができる会社です。「この部分は承っていますよ」というだけの仕事はだんだんなくなってきており、「ここに関して様々な提案ができますよ」という会社が大きく伸びています。
その中で、最近特に動きが激しいのが広告代理店です。特にウェブ広告業者では現在、倒産が急増しています。その理由は、ウェブ広告の運用や、広告に必要な画像制作などがAIでできてしまうからです。多くの会社が業者に頼むのではなく、自社で内製化しています。お金をかけなくても自分たちで出稿できますし、AIがどこに出稿すればいいかも教えてくれます。画像もすぐに作れます。そのため、作業だけをやっていた業者はだんだんと潰れてしまいます。 逆に、すごく業績を伸ばしている業者もいます。それは広告戦略の立案から提案をするビジネスモデルの会社です。「ターゲットのお客様がこういう属性であれば、こういうところに広告を打ちましょう」「こういうイベントをやりましょう」「こういうモデルさんを起用して、こういうCMを作りましょう」といった、上流からの提案ができるところは、随分と業績を伸ばしています。
コンサルティング契約を獲得するための具体化とプロセス
コンサルタントやコンサルティングという言葉は、非常にイメージがしづらいものです。お客様に具体的なイメージを持っていただかなければ、契約には至りません。そのため、「経営コンサルティングの契約を取るためには、通常の商品やサービスと同様に、具体的な内容を準備しておかなければイメージされない」という相談をよく受けます。
コンサルタントとして独立した方や、コンサルティング事業を始めた方の状況を伺うと、多くの場合、次の2つのパターンのいずれかに該当します。中でも特に多いのが、「収益化しやすいコンサルティングメニューが決まっておらず、関与の仕方や価格設定に迷いがある」というケースです。
「コンサルティングをやっています」と伝えた際、お客様から「具体的にどんなことをしてくれるのか」「月々いくら払えばいいのか」と聞かれ、言葉に詰まってしまう方がいます。「言っていただければ色々やりますので」と答えても、お客様は具体的なイメージが湧きません。 たとえば「財務コンサルタント」と名乗っても、お客様は「資金周りを色々と手伝ってくれるのだろうか」という漠然とした印象しか持てず、話が終わってしまいます。
ここで、もっと具体的な話を提示する必要があります。たとえば、「会社と銀行をお繋ぎします」「融資が必要な時に事業計画書を作成します」「経費削減できる項目を洗い出し、AIを活用して業務の効率化をお手伝いします」といった具体的な提案があれば、「それならお願いできることがあるかもしれない」と興味を持っていただけるのです。
具体的なメニューを示さなければ、作業量が見えないため、金額も提示できません。これではお客様も依頼しにくいのが実情です。「このような業務を行い、月額いくら頂戴しています」と明確に示すことが重要です。たとえば、関与の仕方に合わせて3つのプランを用意し、「がっちり関わりたい方はAプラン(月30万円)」「程よい関与を希望される方はBプラン(月10万円)」というように、内容と価格をセットで提示することが大切です。
「9パターンのコンサルティングメニューの作り方」があります。世の中のコンサルタントが具体的に何をしているのかを調べると、大きく9つのパターンに分類できます。中には「これは作業ではないか」と思われるものもありますが、それが事業として成立し、仕事が取れているのであれば、一つのモデルとして有効です。皆さんはこの9パターンに基づき、自身のメニューを考えていきます。
また、お客様に課題を認識してもらうことも重要です。「うちに問題はない」と思っている会社に提案しても、必要性は感じてもらえません。契約を取るのが上手な方は、提案の前にお客様自身に課題の存在に気づいてもらうことが非常に得意です。「御社にはこのような課題があることにお気づきですか」というコミュニケーションを通じ、お客様が「これはまずい、どうにかしなければ」と思ったタイミングで提案を行うと、成約率は格段に上がります。
契約獲得のキーワードは、「メニューの作り込み」「課題の特定」「未来の具体化」「信頼」の4つです。
成功しているコンサルタントは、次のような流れで提案を行っています。
- 接点・信頼構築:現状について丁寧に話を聞き、信頼関係を築きます。
- 課題の特定:現状の不十分な点を指摘し、放置した場合のリスクを伝えます。
- メニューの説明:自身のコンサルティングメニューを提示します。
- 事例の説明:実際の成功事例を具体的に示します。
- プレ目標の設定(お試し提供):ファーストステップを無料で提供し、宿題を出し合います。
次の打ち合わせでその変化を確認し、「確かに変化が起きた」「この人は本物だ」と感じていただければ、本契約へと繋がります。契約後は、一つの課題を解決して終わりにするのではなく、関与する中で見つかる新たな課題を次々と解決していくことで、長期的な契約へと発展していきます。
特に重要なのは「現状をどこまで丁寧に詳しく聞くか」です。相手が話せば話すほど、「この人は自社を深く理解してくれている」という信頼が生まれます。その上で、「将来はどうしていきたいですか」と未来の質問を投げかけます。 組織コンサルティングであれば「規模を拡大したい」「離職を避けたい」といった回答に対し、「そのために採用や育成でどのような悩みを抱えていますか」と深掘りし、「それならお手伝いできます」と準備していたメニューを提示するのです。
自分の知識や経験を活かし、アプローチできる相手が抱える悩み(資金繰り、採用、営業力強化など)を解決する具体的なメニューを定めていきます。「課題を解決したらどうなるのか」という未来をイメージさせ、それを実現する手法とプロセス、そして具体的な事例を提示することが不可欠です。ポイントは、すべてを「具体化」することです。未来、解決策、プロセス、事例のすべてを具体的に話すことができて初めて、お客様は価値を感じ、依頼を決意してくださるのです。