コーチ型コンサルティング
時間の使い方と経営課題の進捗管理について
仕事の優先順位には、重要性が高いか低いか、そして緊急性が高いか低いかの4つの区分があります。 「重要性も緊急性も高い仕事」、「重要性は低いが緊急性は高い仕事」、「重要性は高いが緊急性は低い仕事」、「重要性も緊急性も低い仕事」のどこに時間を使うか分析しなければなりません。
緊急性と重要性の高い仕事、例えば大型取引の打ち合わせや、大型研究の打ち合わせなどは、分析的に時間を使うべきなのは言うまでもありません。 一方で、重要性も緊急性も低い仕事、例えば資料の整理や雑務などは、あまり時間を使うべきではないです。
重要性は低いのですが、緊急性が高い仕事には、小型取引の打ち合わせや接客、資料の作成といった仕事があります。 そして、重要性は高いのですが、緊急性が低い仕事には、制度設計や組織づくり、販売戦略の見直し、Web集客の体制づくり、システムの改善・導入、新市場の開拓などがあります。
こういうことは特に締め切りがないのですが、会社を成長させるためにはやった方が良いことです。しかし、締め切りがないため、どうしても後回しになってしまいます。 こうした仕事に外部のコンサルタントが関わることで、緊急性を「低い」から「高い」状態へと変えることができます。「宿題を出しますので、来月までにとりまとめてください」といった働きかけを行うのです。
そうすることで、緊急性が低い仕事が高いものへと変わります。そうして宿題をやってくるうちに、今までずっと手がつけられていなかった課題に着手できるようになるのです。 慣れていない課題の解決に現実的に取り組むことによって、状況が変わります。
例えば、小型取引の打ち合わせなどは、いつもやっていることなので要領がわかっており、手際もいいものです。大してストレスもかかりません。 ところが、販売戦略の見直しと言われた際、そこには様々な方法があります。今知っている方法で考えるべきか、あるいは新しい方法を勉強してから取り組むべきかと考え始めると、選択肢が多くてだんだん面倒になってしまいます。「もういい、後にしよう。とりあえず明日の資料を作らなきゃ」と、いつまで経っても手がつかないことがありがちなのです。 普段やっていない新しいことをやろうとすると、やはりストレスがかかります。だから後回しになりがちです。
けれど、こうした重要な課題に早めに着手した方が、会社の成長は早まるわけです。そのため、伴走と進捗管理のニーズが高まります。 「こういうことをやりましょう」と提案し、経営者が「そうだよね、やろうと思っていたんだ。よし、この機会にやろう」となって、コンサルタントに関わってもらうのが最適です。 自社に合った販売戦略にはどのような方法があるのか、いくつかの選択肢を提示します。その中で興味のあるものを選んでもらい、「では、このプロセスで進めていくので、まずここまでやっていきましょう」と進めていきます。
そうすると、今まで手がつかなかった販売戦略の見直しがしっかり行えるようになり、営業効率やマーケティングの精度が向上します。さらに言えば、成果が上がるようになり、会社は大きく成長します。 こうしたことに取り組まずに、「資料作成が間に合わない」「明日のお客さんとの打ち合わせがある」と、目の前のことに追われ続けていては、いつまで経っても前進できません。 だからこそ、重要な課題を確実に実行していく必要があります。それほど伴走と進捗管理のニーズは高いのです。
ピーター・ドラッカーはこう言っています。 「成果を上げるための秘訣を一つ挙げるならば、それは集中である。成果を上げる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。成果を上げるには大きな塊の時間が必要だ。総量が大きくとも、細分化された時間では役に立たない」
この「一つのこと」を明確にしましょう。御社が成長していくために、まず取り組むべきことは何でしょうか。一つのことを明確に仕上げていきます。 例えば販売戦略です。古いやり方のままではなく、SNS戦略など現代的な手法をしっかり取り入れましょう。AIを導入して反応の良い投稿を分析したり、AIに文章を作成させたりする体制を作ります。 今はあまりお金をかけずに実現できます。そして、やると決めたら大きな塊の時間が必要なのです。毎日10分ずつ細切れにするのではなく、丸1日使うなどして集中して取り組みます。1人ではなく5人ほどで集まって行うのも有効です。例えば、合宿を行って缶詰になり、一つの問題に徹底的に取り組むといったチームでの方法もあります。
コーチ型の進め方
- 扱う課題を特定し、解決の定義を確認します。
- 課題解決までのプロセスを提示します。
- 知識・ノウハウの提供や質問を通じて解決策を決めます。その解決策が現実的かどうかも確認します。
- 解決策の実行にあたり、誰が何をいつまでにやるのか、目標と締め切りを設定します。
- 定期的に進捗を確認し、適宜、解決策を調整しながら次の目標と締め切りを決めます。進捗は視覚化します。
この過程でニーズに応じ、作業請負型、社内調整型、研修セミナー型、仲介型など、他のメニューを提案することもあります。
課題解決までのプロセスを提示することも重要です。コーチ型契約の提案に際しては、契約締結後の関与状況と課題解決のプロセスを時系列で示し、課題が解決していく過程を視覚的に提示します。これは契約後の進め方の指針ともなるため、スムーズに進行できます。
例えば、3月に契約を締結したとします。テーマは「組織風土の改善と理念の浸透」です。 まず、目指す組織像や求める人材像を設定します。そして、それに合わせた人事評価制度を設定していきます。 どのような人材になってもらう必要があるのか、具体的にどのような行動や態度をとってほしいのかを人材像として定義し、その内容に沿った人事評価を行います。「こういう態度をとっている方は高く評価します」という評価制度に連動させるのです。
そして、年間研修の内容を6月までに決めます。この研修は、目指す組織像や求める人材像を理解してもらい、それが評価にもつながることを浸透させるためのものです。 9月までに管理職フォロー研修を実施し、10月には一般職研修を実施します。9月中のフォロー研修では、7月に実施した内容を実践できているかを確認します。11月には評価面談を実施して評価を行います。 12月には、4月に決めた「目指す組織像」への進捗確認を行います。どこまでその姿に近づいたのかを確認していくのです。
3月に契約した際、年内にどこまで到達できるかを具体的に示されれば、「この人にお願いすれば、組織が本当に変わっていきそうだ」と納得感を持ってもらえます。こうしたプロセスを示すことで、コンサルタント側にとっても契約後の確かな指針となります。皆様も、ご自身のコンサルティングにおいて、このようなプロセスを示せるようにしていきましょう。
コーチ型の例
- 組織コンサルティング:理念、行動規範、評価制度を導入し、浸透させます。スケジュールを決め、締め切りを設けて毎月宿題を出し、進捗を確認します。社員への浸透については研修を請け負います。
- 営業販売コンサルティング:営業手法のトレーニングと、客単価を上げる商品の開発について、毎月テーマを決めて宿題を出し、進捗を確認します。
- Web集客コンサルティング:動線の見直し、ABテスト、ブログの拡充について、毎月テーマを決めて宿題を出し、進捗を管理します。Webページの改修や新規ページの作成は、作業請負型につなげます。
心理的ハードルを下げるメニューの作り方
期間が明確ではない顧問契約は、先方にとってトータルの費用が把握しにくく、ゴールも見えにくいものです。 半年や1年など、期間を区切った提案は費用の目途が立ち、ゴールも明確になるため、契約がしやすくなります。期間満了後も、課題を深掘りしたり新たな課題が見つかったりすれば、契約は延長されます。
期間を区切った提案が延長された事例として、半年間で事業承継に向けた体制を作るプランを契約したケースがあります。その半年間で他の論点についてもやり取りをすることで複数の課題が特定され、結果として契約は2年間延長されました。