部下との関わり

部下との関わり

これまでは、動機づけの心構えということを説明しました。自分との向き合い方の話であります。この心構えをベースにして、今度は部下と関わるという話をしていきます。部下との関わり、これを動機づけというわけです。けれども、動機づけは内発的動機づけと外発的動機づけの2つに分かれます。

内発的動機づけというのは、行動が内面から生じる興味、関心や意欲に動機づけられ、仕事自体が楽しく没頭できる状況をもたらすものとなります。長期的な動機づけの効果があります。こういうふうに、内発的動機づけで部下の人たちが働いてくれたらいいんですけども、もう仕事そのものが楽しいと言って、ほっといたってモチベーションで働いてくれます。これが一番いいわけです。ところが、みんながみんなそうとは限らないわけです。中にはモチベーションが低い部下もいます。そういった部下には、上司の方から外発的動機づけというのをやっていかなければいけません。

外発的動機づけは、行動が評価、承認、懲罰、強制などの外部からの刺激に動機づけられている状態のことです。行動の動機が何らかの見返りを得ることにあるとあります。評価されたいから頑張ろうと、認められたいから、褒められたいから頑張ろうと、あるいはやらないと罰せられるから頑張ろうと、強制的に言われたから頑張ろうと、これを何らかの見返りを得るというところに外発的動機づけの特徴があるわけです。外発的動機づけによってモチベーションが、長く働いている状態が望ましいというわけではないのですが、必要によっては部下に対しては、上司の方が外発的動機づけをやっていかなければなりません。

この点に関しては、上司が外発的動機づけで関わっていないと部下が頑張らない。こういうかたちで上司が外発的動機づけをするから部下が頑張るというのであれば、だんだんと部下は上司の外発的動機づけを求めるようになります。例えば上司が褒めないと頑張らなくなるところです。上司が感謝の言葉を伝えないと頑張らなくなる。上司が褒めたら僕は頑張る。上司が感謝の言葉を伝えたら僕は頑張る。こういうふうなことをやっていくと、逆に褒めないと頑張らなくなるんじゃないかと、こう言われることがあるんです。これはちょっと理屈に偏りすぎた発想なわけです。部下は初めは上司から褒められたいと、頑張ろう、褒められたいから頑張ろうと、そういう風な動機で頑張っているという風なこともあります。ただそれをずっと求めているかというと、5年経って10年経って上司が褒めてくれないと頑張らない。そんなふうになるかというと、決してそんなことはないわけです。別に上司が褒めてくれなくたって、自分で目標を設定して頑張っていこうと内発的動機付けで働く人もいっぱいいます。なぜかというと、エンハンシング効果というのが生じるのです。

これは外発的動機付けによって、モチベーションの中の仕事をしているうちに、仕事に関心が生まれ、内発的動機づけへと変化していこうとなります。初めは、上司は褒めてくれたから頑張ろうとか、上司に叱られたくないから頑張ろうと、こんな外発的動機づけで、高いモチベーションで頑張っています。でも、そういうふうな外発的動機づけが原因であったとしても、モチベーション高く仕事をしているうちに、どんどん仕事の要領がわかってきて、経験値も増えていって、そして自分で仕事をこなせるようになってきます。さらに仕事に対する自信がつきます。経験の豊富になってくると、こうなると仕事そのものが楽しいと思えるようになるわけです。これが内発的動機づけにつながっていくわけです。これをエンハンシング効果と言います。よって、外発的動機付けで関わったら、ずっと外発的動機付けをしないと、褒めないと頑張らない社員になりますと、そんなふうに言う方もいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。エンハンシング効果というのが生じるわけです。初めのうちは、それは上司がこうやって関わっていないといけない。そのうちにだんだんエンハンシング効果が生じてですね、仕事そのものが楽しくなってきます。

ただ、初めからこの外発的動機づけもせず、上司が部下のことを褒めたり、励ましたり、そういうふうなこともせず、部下がなかなか高いモチベーションで頑張れないと、そんな状況でなかなか仕事が上達しない。経験値も増えていかない。そして仕事がいつまでたっても面白くならない、自分はこの仕事が向いていないと思って辞めようと、そういうふうなことで辞める方もいらっしゃいます。やっぱり新人さんとか入ったばかりの人とか、これ初めは手取り足取り関わってあげることが大事なのです。いいところは褒めて、素晴らしいところは感謝をして、ダメなところはしっかりとアドバイスをして成長につなげる。手取り足取り、外発的動機づけをしていって、それでモチベーションが高くなって、そこからどんどん成長してくれたら、仕事そのものがどんどん自信を持ってできるようになってくる。そうなると仕事が楽しいと思うようになるわけです。内発的動機づけで変わってきます。このエンハンシング効果をもたらすというのは、上司の重要な役割です。このエンハンシング効果を承知させる上で効果的なのが承認や応援などの言葉の報酬、そして仕事の任せ方です。こういったことを通じてエンハンシング効果をもたらすこと、これが上司のすごい大事な仕事になります。この内発的動機づけが生じる条件というのがあります。内発的動機づけ、要は仕事そのものが楽しいと、感じる条件です。この点、過去のどういう時に仕事が面白いと感じますかと、ディスカッションで出てきた答えの中でとりわけ多いものが5つあります。

➀一定の難易度の目標があること。目標があると仕事。その仕事が楽しくなります。

②そのことを最後まで成し遂げた達成感や自信があること。こういう時に仕事が楽しいと感じます。

⓷人に感謝される、社会的意義を感じる。こういう部分が大事になります。

④心理的安全性があり、裁量が与えられている。心理的安全性というのは、要は自由にものが言えるところです。上司に対して自由に意見ができる。こういうふうに風通しの良さがある。そして裁量が与えられているわけです。つまりある程度自由があるわけです。自分の意見も通るわけです。

⑤成長や手ごたえ、進捗を実感できる。例えば数字が残っているとか、あるいは上司から良いフィードバックをもらうとか。こんなふうにして手ごたえを感じるこういう時に仕事が楽しいと感じるわけです。そういう、意見が多いわけです。

そして、職務特性モデルというものがあります。内発的動機づけが生じる仕事の心理的特徴を表しています。要は仕事が楽しいと感じるために必要な心理的特徴は何かというと、どういう心理的特徴があれば仕事が楽しいと感じるのか、ここに関する研究です。その研究の結果で分かったのが5つ、その要素があるといいます。

➀多様性。複数のスキルが求められる、単調な作業というのはなかなか面白いと感じません。複数のスキルが求められます。

②一貫性。初めから終わりまで一貫して携われる有意義

⓷仕事に意義ややりがいを感じる自律性、

④自分の裁量で仕事を進めることができる

⑤フィードバック、仕事の成果や手応えを感じられる

こんな風にして5つの心理特徴が挙げられているわけです。上と比べると、一番以外ほぼ一緒になります。一貫性そのことを最後まで成し遂げた達成感。それから人に感謝される。社会的意義を感じる。まさに仕事に意義や意味を感じる。そして自律性。自分の裁量で仕事を進める。まさに裁量が与えられているとか、上司にも意見が言えるとかですね。そしてフィードバック。結果は手応えを感じる。まさに成長とか手応えとか進捗を実感できる。これ偶然なんですけれども、ほぼ一緒なのです。上は目標がある。下は複数のスキルが求められる。

こういう時に部下は仕事が楽しいと感じます。部下の仕事を楽しいと感じてもらいたいのであれば、上司としてこういうところに気をつけながらマネジメントをする必要があります。この内発的動機づけを生じる条件というのは、すごく大事なポイントです。

褒めれば部下のモチベーションが上がるんですか、叱れば部下は素直に言うことを聞いてくれるんですかというと、そんな甘いものではないです。現場というのはもっとドロドロしています。この褒めるとか叱るとか、外発的動機づけをする上で中心になる関わりとなりますが、その関わりをする前提として、上司と部下の関係性というところが大事になります。

皆さんの意見を見てみますと、一番端的に申し上げると、信頼してない上司から褒められても嬉しくないし、叱られても素直に反省しようと思えないというところだと思います。この信頼しない上司というところに関してすごく大事なのが、本当にこの人は、自分のことを理解してくれるかな、自分のことをちゃんと見てくれてるかな、こういったところが必要であり、それから自分のことを思ってちゃんと叱ってくれるのかな、そういうふうなところが大前提としてないと、褒めたって、叱ったって、部下は喜びもしないし、反省もしようとしません。そういうふうな上司としてのあり方というところがまず前提として求められるわけです。このあり方に関しては、このあり方がベースとしてあって、その信頼関係のもと、褒めるとか叱るというコミュニケーションをとると効果が出ます。したがって、関係がない状態で、褒めれば部下がモチベーションが上がるとか、叱ったら素直に反省してくれるとか、そんな甘いものではないという話になります。

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