経営者であれば成功を追い求めていきたいという気持ちがあります。自分にとってどういう状況になったら成功したと言えるのか、ここを明確にしておかなければなりません。ある意味、一番重要な意思決定基準になります。ところが、ここが明確でないまま意思決定をしている経営者があまりにも多いというのが現状であり、気がつくと取り返しのつかないことになっている人も多いわけです。
成功の定義について
成功とは、自らの価値観に沿って自己実現を行うことです。そのためには、自分は経営者としてどんな人生を歩みたいのか、その価値観を明確にした上で意思決定をする必要があります。その価値観が経営方針を決める上で最も重要な指針となります。その指針を明確にしないまま意思決定をする経営者というのは多いですが、それは人生の後悔につながります。どういう状況になったら成功すると言えるのか、ここに関して明確に定義をしなければなりません。
例えば、経営者にとっての成功について、売上を伸ばすことや、事業を拡大するということ。そういうふうな成功の定義というのはありがちですけれども、今後会社をどうしていきたいかというと、ほとんどの経営者は、売上を伸ばしたい、事業を拡大したいと言います。では、売上拡大したい、事業を拡大したい、何がしたいんですかと言ったら、そこの答えが返ってこないのです。何がしたいかわからないけど売上伸ばしたい、事業を拡大したいというのです。目的は何かわからないんだけど事業を拡大したいとなります。そういうふうな成功の定義を持って経営をしている人が多いわけです。
それは果たして自分の価値観に基づいた成功の定義なのかというと、そうではありません。よくあることは、世間の価値観というのがあります。世間の価値観というのは、小さな会社の社長よりも大きな会社の社長の方が偉いとか、事業を拡大した経営者の方が事業を拡大してない経営者よりも偉いとか、そんな世間の価値観というのがあります。この世間の価値観は自分の価値観と思い込んでしまっています。そしてそれを自分の価値観と思い込んで、一生懸命事業拡大に向けて頑張ってきましたとします。ところが、それで不幸になる経営者はいっぱいいるのです。こんなはずじゃなかったとなります。つまり、どういう風な経営ができていれば、本当に自分の価値観に基づいて成功だと言えるのか、ここを考えないまま、とにかく事業拡大と言って経営をしている人は多いわけです。成功には絶対的な定義はありません。
例えば、事業を拡大したら成功とかいう表現は絶対に変更しない。例えば、事業を拡大したら成功かというと、必ずしもそうでもありません。よって、自らの価値観があるのみです。これは経営をしていく上で最も重要な点です。自分は何が欲しいのかが分からないけど、とにかくお金が欲しい。事業を拡大したい。お金を手に入れました。事業を拡大しました。何がしたいのかがわからない。だから事業をとりあえず拡大しようと。絶対拡大しようとなります。事業拡大の目的がないまま拡大し、拡大後目標を見失うか、数字の魔力に取り憑かれる経営者を贅沢な悩みかもしれませんが、事業を拡大した後、目標がなくなる方というのはいるものです。経営者がまずはじめに考えなければいけないのは、一番重要な意思決定基準です。この意思決定基準を知らないまま意思決定をしている経営者にはなってはいけません。
幸せの研究
幸福の研究をしている心理学者マーティン・セリウマンによると人の幸せは3つの要素に分解できます。
快楽の人生。これは欲しいものを手に入れ快楽を追求することです。
そして夢中を追求する人生。これは長所を生かして没頭することです。
そして意味のある人生。他者や社会に貢献することです。
快楽で得られるポジティブ感情には「慣れ」があります。持続しにくく、短期的で限界があることが分かっています。快楽は、人生の満足度にはほぼ関係なく、意味の追求が最も強力であり、夢中の追求も強い関係がありました。つまり、幸福な人生とは、意味を持って夢中になれるものがある人生であり、快楽はその人生に花を添えるものというふうになります。
この快楽で得られるポジティブな感情には慣れがあり持続しにくい短期的で限界がある。これは脳の性質から考えるとそうなるわけです。脳というのはより強い刺激をもとめ、100億円いっても、飽きてしまい、110億円欲しいとなります。100億、110億、150億、200億、欲しいとなります。このように、快楽を追い求めていっても、キリがないのです。200億円といったら、今度は300億円生きたいです。
この意味のある人生、他者や社会にいかに貢献するか、そして夢中を追求する人生。自分の長所を生かして没頭できうるようなものを見つけるか、このようなことが人生の幸せといったところに一番強く影響をしてきます。快楽は花を添えるものであり、ここを経営に当てはめて考えていくと経営者のステージを考えていきます。
ステージ1、
事業を黒字化し。軌道に乗せるため努力を重ねる。ここは、がむしゃらにどうにか事業を黒字化したいとなります。軌道に乗せたいと頑張るステージです。
ステージ2、
事業を拡大し、称賛を集め、夢中を追求していきます。ある程度、事業が軌道に乗ってきた。お金の十分に稼げるようになってきた。そうすると、欲しいものを手に入れ、快楽を追求します。ずっとここにとどまる人もいます。稼いで、お金でいろんなものを買って、ここで快楽を追求し、続ける人もいます。
ステージ3、
快楽の追求に満足すると、人生の意味を追求し始め、他者や社会への貢献に関心を持つようになります。ここの状況になってくると社会貢献です。それに興味を持ち始めます。そういったところに人生の意味というのを求め始めます。
そして死の直前、
富も名誉もあの世に持っていけないとなります。いかに人の役に立てたか、人に喜んでもらえたかに人生の意味を感じることになります。亡くなる直前となりますと、ずいぶん価値観も変わってきます。そして、稼ごうとか、いくら稼いだお金、使う時間もないし、使いたいと言って欲しいものもないし、あの世に持っていけないし、お金はいっぱいある。だけれども人生の意味を感じないという人はいるのです。結局、人生で最後に笑う人は、死ぬ間際に振り返った時に、本当にいい人生だったなと心の底から言える人です。どれだけ稼いでいようが、どれだけ地位があろうが、心の底から本当にいい人生だったと言えない人は、成功者とは言いにくいわけです。
では、自分はどんな人生を送れたら、死ぬ間際に心の底から幸せだったと言えるのか。ここを先に明確にしてから、そこから逆算して経営の仕方というのを考えていくと、本当の意味での成功に近づくことになります。
そのためには、まず自分の価値観や自分の性質、ここを知らなければいけません。自分のことをまず知らなければいけません。ところが、自分のことを知らないまま経営を一生懸命頑張っているという人は、あまりにも多いわけです。
経営者としての成功の要素を考えていきます。自らの価値観に沿った経営者としての成功とは何かを考える上では次の3つの視点が重要になります。
1. 富や規模 富を築く事業規模を拡大するこれは言われなくても意識はされます
2. スタイル 自分のやりたいことをやりたいようにやる
3. ミッション志。社会的意義の高い事業を行う。
はじめの富や規模の追求というのは、ドーパミンの強化学習により、脳はより強い刺激を求め続けるため、いつまでも満足できないことがあります。これをドーパミンの強化学習と言います。ドーパミンという脳内物質が分泌されると快楽が始まります。気持ちがいいのです。そして快楽というのは、その味を一旦知ると、また味わいたいとなり、もっと強い刺激を味わいたいというふうになります。ドーパミンの強化学習でより強い刺激が欲しくなるのです。これは脳の性質によります。脳がより強い刺激を求め続けます。例えば100億円いって、それに満足したら今度は200億円欲しい200億円いって、それに満足したら今度は300億円欲しいとなります。いつまでたっても満足できないということがあります。
よって、十分に富を築いているし、事業も拡大しているのに、自分は不幸だと思う人もいるわけです。なぜかというと、ドーパミンの強化学習に陥ってしまっています。もっと強い刺激が欲しいという刺激中毒になってしまうわけです。
そして、ミッションや志がない人は、事業に飽きやすい、あるいは逆境で諦めやすいとなります。経営者の一つの傾向として、長く同じ事業をやっていると飽きる人もいます。10年、20年、30年やっていると、もうこのビジネスに飽きたとなります。他の余計なことをし始めます。再度ビジネスを立ち上げるとか、余計な投資に手を出したりして、これでコケている人は結構いるわけです。事業に飽きる。そして何のためにやっているのか。それは稼ぐためでしょうとなります。それのためだけにやっている人というのは逆境で諦めやすいわけです。もうこのビジネス儲からないと思ったら。すぐにやめるのです。
けれども、この事業は何でやっているのかというと、社会にとってこれだけ良い影響を与えているんだと、お客様からこれだけ喜んでもらえているんだと、そういうすごく社会にとって大事な事業をやっているんだというふうな志やミッションが、ある人は逆境に陥ってもこれはやめるわけにはいかないこれだけの方々のお役に立てている事業なんだからとやめるわけにはいかない逆境でも踏ん張りやすいことになります。このスタイルやミッションや志、このようなところから成功の定義を考えると良いです。これを考える上では、死の間際に人生を振り返った時、どういった人生を過ごせば悔いがないのかこれをイメージするのが効果的であります。この機会に自分自身の成功の定義についてスタイルやミッション、志、ここを考えておく必要があります。
富や規模は言われなくても考えることになります。スタイルやミッション、志、何をやりたいのか、どいうようにやりたいのか、そして社会やお客様、周りの人にとってどういうような価値を提供しているのか、社会的意義というのをどういったものなのか、ここをよくよく明確にしておかなければなりません。気をつけなければならないのは、富や規模を追求するだけということです。これだけでは、どこまで行っても満足はしません。結局、ドーパミンの強化学習に陥るだけです。自分にとって、どういう経営ができれば、自分自身の価値観に基づいて本当に幸せだと言えるのか、ここをまず明確にしておく必要があります。これを実現するような意思決定をしていかなければなりません。
自分自身の性質を知る上で、 HSPという話があります。これは「Highly Sensitive Person」の略です。アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱している概念です。心の感度が高く、繊細で刺激に敏感な人を言います。どの国にも人口の15から20%の割合で存在しています。経営者でこのHSPの人は結構いるわけです。なぜかというとポジティブな特徴として、感覚が鋭い、物事の本質を見抜きやすい、感動しやすい、優れた創造力や直感力を持っている、孤独に耐えられる、やる気を起こしやすい。そのような経営者にとって必要な性質をかなり持っているのです。よって、仕事をやる人も優秀な人は多いかもしれません。ところが、ネガティブな特徴があります。刺激に敏感で疲れやすい。自己否定が強い。周りの目を気にする。他者の感情に影響されやすい。このようなネガティブな特徴もあります。
このHSPの人かどうかというところに関して、HSPの人の方が事業を拡大していくと結構辛いわけです。人間関係に疲れやすいのです。他者の感情にも影響されやすいのです。周りの目を気にするというので、HSPの状況で事業拡大をやっていくと、メンタルやられやすいのです。そして、仕事ができるのだけれども、わがままな人や、あるいは言うことが聞かない人。こういう人を採用したりすると、よりメンタルをやられやすくなります。なので、仕事はできるのだけれども、打たれ弱い、メンタルが弱い、それはもう、そもそも性質としてしょうがない部分があるわけです。
こういうタイプの人には、やはりこういうタイプに合った経営の仕方をしていかなければなりません。事業は拡大したものの、精神的に不安定になり、メンタルが崩壊し、そういう経営者もいるわけです。
HSP 、チェックリスト。
こういうふうなところ、自分自身の性質というのを知っていると、気が楽になったという人もいます。
事業規模と経営人生
そして、事業規模と経営者としての人生を考えることは大事になります。まず、事業を小規模にとどめるか大規模にしていくかというところについて経営者の役割は小規模だとプレイヤー、大規模だとマネージャーとなっていきます。収入、名声、リスクについては、小規模だと小さいけれど大規模だと大きくなっていきます。自由度というのはその逆です。小規模だと大きく自由にやれるところが、大規模になってくるとなかなか自由にやれません。人間関係については、小規模であればシンプルですが、大規模だとだんだん複雑になっていきます。このような一般的な考え方があります。
事業の規模は、自らの価値観や性格に基づいて決めている。HSPの度合いが強いほど、規模拡大は辛いものです。ですので、事業の拡大こそが成功だと言って頑張って拡大したものの、自由度がどんどん小さくなっていき、人間関係がどんどん複雑になっていき、HSPの人はこの他者の感情に影響されやすく、周りの目が気になり、自己否定が高まり、このようなところで自分がトップとして、いろんな多くの人が会社に入ってきて、そういった人との人間関係が複雑になってきて、メンタルがやられる話はよくあるものです。
私の成功の定義
1. 経営の根幹をなす価値観(クレド)
- 成長・信頼・思いやりを軸に据えた組織づくり
- 「人が育つ環境」の創出:仕事を通じて社員が活力を得て自立し、すべてのステークホルダーを元気にすることを目指す。
2. 事業目的と社会的責任
- インフラを支える誇り:社会インフラ関連製品の製造を通じ、安心・安全な社会基盤の構築に寄与する。
- 地域社会への還元:地域社会から発信し、事業活動を通じて地域社会の活性化に貢献する。
3. 未来への展望と夢
- 強固な事業承継:次代へ経営のバトンを確実に引き継ぎ、永続企業の土台を整える。
- 新たな挑戦:次世代の育成につながる「教育」への投資や、グローバル連携を見据えた「拠点展開」。
- 人生の充実:志を社員と分かち合い、夢の具現化に全力を尽くすとともに、個人としても豊かな人生を歩む。