コミュニケーション設計
これまでは、コミュニケーションステップの設計に関する話でした。今回は、ステップを次に進めるためのコミュニケーション設計についてです。
例えば、動線の中のコミュニケーションステップにおいて、「無料診断」「お試し利用」「セミナー」などのステップへ進んでもらうために、接点で何を話すべきかというお話です。
何を話すべきかの前に、どこで関係を深めるかを考えます。例えば名刺交換です。名刺交換の場で、まだ関係が深まっていないのに「セミナーに来ませんか」と誘っても、相手は警戒します。「この人は急に何を言い出すのだ」となってしまうわけです。 しかし、ある程度会話が弾み、お互いのビジネス内容を深く理解し合った上で、「それでしたら、こういう企画があるので参加してみませんか」とお話ができれば、「やってみようかな」と思ってもらえます。ですので、まずは関係構築が必要です。このコミュニケーションも設計に含まれます。
これから、関係構築をしていくためのコミュニケーション設計のお話をします。 対象顧客と会話が弾んだ成功体験は、会話に対する自信となります。その自信が、出会いに対する積極性をもたらし、好循環につながります。 会話が弾む確率を上げるため、次の点について公私ともにまとめておきます。
- 関心があること
- 悩んでいること
- 話を聞いてもらいたいこと 各内容について、きっかけとなる質問を準備し、PDCAを回して会話が弾む確率を上げます。
せっかく顧客と会っても、会話が弾まずに「何を話していいかわからない」となり、次につながらない状況では、会うこと自体に消極的になってしまいます。しかし、営業活動を継続しなければならないのであれば、対象顧客とお会いした際に、高い確率で会話が弾むような「再現性のある仕組み」を作らなければなりません。
そのためには、対象顧客が関心を持っていること、悩んでいること、話を聞いてもらいたいことについて、公私ともに整理しておくのです。 例えば、40代の男性経営者の場合、以下のようにビジネスとプライベートに分けて整理をします。
- 関心があること
- ビジネス:ビジネスチャンス、同業他社の動向、業界の動向、勉強会、セミナー、有名社長の話
- プライベート:健康、女性、おすすめの本、子どもの受験や学校
- 悩んでいること
- ビジネス:従業員の能力や態度、人材採用、売上低迷、資金繰り、多忙、休日不足、税金、社会保障
- プライベート:体重や体型、妻の機嫌、子供の反抗期、親の健康、相続対策
特に経営者の方は、自らの独自の人生論を語りたいという、喋りたい方が多い傾向にあります。そこをあえて聞き出すのです。「社長はこのあたりについて、どのようにお考えですか」と聞き、「そんなふうに考えるようになった経緯をお聞きしたいです」と興味深く深掘りします。このように会話が展開するように準備をしておくのです。 これらを対象顧客ごとにまとめ、スマートフォンのメモなどに残して、お会いする前に目を通すようにします。
ポイントは「共通点」です。共通点があればそれを伝え、共感することで仲が深まりやすくなります。質問を準備しておくことが、話のきっかけとなります。 例えば、業界の動向について質問する場合、「今、原油高の影響などはどうですか」と切り出します。すると「工場の燃料費が上がって大変だよ」といった形で会話が始まります。 悩みについては、「最近お忙しいですか」「ちゃんと休めていますか」という一言が、経営者の心をくすぐります。経営者の方は「忙しい」と言いたいものなのです。 また、経営の持論や部下の愚痴についても、「○○さんの部下は皆さん優秀なのではないですか」とあえて逆の聞き方をすることで、「そんなことないですよ、実はこんな大変な部下がいまして」と、たくさん喋ってくれるようになります。
人とお会いした時には、次の5つのゴールのいずれかにつなげられるようにします。
- 成約:自社の顧客になってもらう。その場合、次のコミュニケーションステップに誘導します。
- 提携:紹介などにつながる提携関係を築きます。どんな会社とどう提携したいかを明確にします。
- 人の紹介:相手が求める人や提携先を紹介します。紹介先の魅力を伝えられるよう整理します。
- 紹介の依頼:自分が求める人を紹介してもらいます。どんな人を紹介してほしいか明確にします。
- 情報の収集:自分が欲しい情報を得ます。
特に、紹介の依頼や情報収集については、事前に「どのような人(見込み客、提携先、専門家など)」や「どのような情報(集客の成功事例、投資の判断など)」が必要かを整理しておき、交流会などに参加する前に目的を明確にしておきます。
次に、名刺交換における「先攻・後攻」についてです。名刺交換での事業説明は、後攻の方が有利です。 相手に先に事業説明をしてもらい、相手のニーズや課題を把握してから、それに即して自分の事業説明を行うためです。先に話してもらう方法は簡単です。「どんなお仕事をされているのですか」と質問すればよいのです。 相手の話を共感しながら丁寧に聞くことで、印象もその後の展開も良くなります。聞き方は極めて重要ですので、人間関係の心理学などを参照いただければと思います。
対面コミュニケーションの流れは以下の通りです。
- 現状把握:相手の事業状況や商品の特徴、対象顧客を聞く。
- 目標と課題の共有:今後の展開や、現状との乖離(課題)を聞き出し共有する。
- 自社の事業説明:相手のニーズや課題に関連させて説明する。
- 提案:5つのゴールにつながる提案を行う。
最後に、情動伝染についてです。自分の感情の状態は相手に影響するため、明るく楽しい雰囲気を保つことが大切です。「出会えて嬉しい」「会話が楽しい」という感情で臨んでください。売れている人で、雰囲気が暗い人はほとんどいません。 「この人と名刺交換できて嬉しい」という気持ちで臨めば、その感情は相手に伝染し、相手も嬉しい、楽しいという感情になりやすくなります。これがお互いに会話が弾む秘訣です。 ただし、あまりに露骨にやりすぎると相手が引いてしまうため、空気を見ながら、心の中に喜びを持って接するようにしてください。
相手の話に興味を持ち、一つ二つの質問をすることはマナーです。相手の事業説明を聞いた上で、名刺の裏にある無料相談やセミナーなどの次ステップを案内すると、より効果的なコミュニケーションが実現します。