心理的安全性と学習性無力感

この心理的安全性という言葉が、ちょっとした話題にもなっています。ものすごく流行っています。これはハーバード大学のエイミー・エドモントソン教授が提唱したことです。どういう意味かというと、発言に対して否定、叱責されるなどの対人関係のリスクが少なく、のびのびと発言、意見できる状況です。

この心理的安全性という言葉が結構間違って解釈されることがありまして、それがとにかくストレスを与えないという状況を確保することが心理的安全性を確保するということなんだというふうに思われる人もいるかもしれません。そういう意味ではありません。ただ、ストレスを与えないという意味ではなく、のびのびと発言、意見できるという状況を確保することを心理的安全性というものです。

よって、この発言や意見がしやすい、つまり風通しの良さみたいなものです。その心理的安全性を確保するために、以下のリスクを感じさせてはいけないということがあります。

心理的安全性は、次のリスクを感じると心理的安全性が低くなります。

無知と思われるリスク。これを感じてしまうと質問や相談をしなくなります。こんな質問、こんな相談すると、この人無知だなというふうに思われてしまうんじゃないか。そう感じると質問相談はしなくなります。無能と思われるリスク。これを感じると意見を言わないとか挑戦をしなくなります。

邪魔と思われるリスク。これを感じると助けを求めなくなります。

否定的と思われるリスク。これを感じられると率直な意見を言えなくなります。もう上司の意見に合わせるような意見しか言わなくなる。こういうリスクを感じられるようにして信じき。こういうリスクを感じられないようにして心理的安全性を確保し自発性を高めるには、まずこれらのリスクを感じさせない関わりが重要になります。

Googleが2012年に生産性の高いチームと低いチームの差の原因を調査した結果、その原因は他者への共感、心遣い、配慮から含まれる心理的安全性(サイコロジカルセーフティ)の有無だと分かりました。生産性の高いチームでは、心理的安全性がチームの中に根付いており、否定される、叱られるといった不安が最小限に抑えられ、個々のメンバーがのびのびと意見を述べ、活動できる土壌が存在していました。組織の生産性を高める上では心理的安全性を確保し、メンバーの自発性を引き出すことが重要になります。このように心理的安全性の有無というところが生産性に大きく影響していたということが分かりました。メンバーからのびのびと意見が出てくる。そしてメンバーがいろんな挑戦ができるという状況というのは今後ますます重要になります。

今、時代が激動の時代です。ものすごいスピードで変化しています。あと5年後、社会がどうなっているのかわかりません。それぐらい変化しています。変化する時代において安定を求めるためには変化に合わせて変化するしかないのです。変化に合わせて変化できる会社は安定を得られます。変化に対して合わせて動くことができないければ、もう地面がグラグラ揺れているわけですから、ここに対して自分もうまく揺れていかなきゃいけないわけです。ところが、そこで自分がじっとしていたら、それはもう自分自身がグラグラになっちゃいます。そういった意味でやっぱり変化に合わせて変化していかなければならないのです。

変化に合わせて動きを取るために、やはりいろんな人の意見をもらう。それが上司が変化に対応するために必要な情報を全部入手して、必要な対応が全部できる人はいいんですけれども誰もがそういうわけではありません。やっぱり人それぞれが得意になり、AIが得意な人とか、あるいはマネジメントが得意な人、営業が得意な人、お客様からの意見を引き出してくれる人が得意な人、いろんな人の意見を勘案して、時代の流れ変化を察知して、そしてそれに対応すべく必要なところでどんどん推進していきましょう、どんどんチャレンジしていきましょうということを繰り返してやっていかないと、変化に取り残されていきます。

ということは、チーム内での心理的安全性がすごく大事で、いろんなメンバーがのびのび意見を言って、いろんな挑戦ができる状況を作っていくのが大事です。そういった意味で、この心理的安全性というのは今後ますます重要になります。

この心理的安全性を確保するためには、こういうふうなことをしないということを知っておく必要があります。心理的安全性を奪う行為としてあげます。

まず部下の話をまともに聞かない。否定する。論破する。

これは、仕事ができる人でこれやりがちになります。特にこの論破するは、悪気がないのですが、部下の意見を聞いた時に、だってそれやったらこうなるってこうなるじゃんだから無理だよと言って、見事に論破する。それそうかもしれないけれども、これを繰り返し繰り返しやると部下は意見は言わなくなるのです。どうせ言ってもまたコテンパンにされるというのが怖い。あの人頭いいし、自分が考えていることなんて大したことないから言うのをやめようってなってしまうのです。もうあの人の言う通りにやろうと。そうすると受け身の姿勢になるわけです。

そして自分の意見に反論されると感情的になる。

上司がこういう態度を見せると、もう部下は反対意見が言えなくなります。

それから失敗を許さない。ミスを厳しく感情的に叱る。

こういうふうな状況を部下は少しでも失敗しそうなことにチャレンジしなくなります。あるいは提案もしなくなります。確実に受け入れてもらうこと、確実にうまくいくと思えることしかなくなります。

それから、話しかけにくいオーラを出し、相談しづらい。質問や相談をされると、面倒くさそうに答える。

こういうふうなことを普段やっていますと、部下はこういうリスクを感じるわけです。こういうリスクを感じ、のびのび発言、意見することが難しくなります。

心理的安全性を確保されなくなると、このチームの生産性が落ちるわけです。業績も下がっていきます。特に変化の時代において、よりこういったところが重要です。

そして「学習性無力感」という言葉があります。これは努力しても結果が得られない状況が続くと、自分は無力だと学習し、その状況を変えようともしなくなります。

例えば仕事をして、ここでもっとやった方がいいんじゃないかと考えて上司に提案しました。ところが上司がまともに聞いてくれなかった。聞いてくれないというか、否定する、論破する、なんなら自分の意見に反論されるように捉えて感情的に言ってくる、面倒くさそうにされるとか、こういう風なことを繰り返し経験していくと、もう部下は意見を言わなくなります。どうせ言ったって聞いてもらえないとなります。

自分が上司に意見を言って、上司がその意見を採用することによってチームと組織が変わっていくが、こういうことをすることは自分では無理だとなります。何を言ったって、チーム組織は変わらないと思えてしまいます。そうなると無力であることを学習するのです。自分はこのチームとか組織と変えることはできない。無力でやることを学習して、もうこのままでいいやとなります。このチームの人から言われたことを言われた通りやればいいんでしょう。上司から指示されたことを指示された通りやればいいんでしょうという指示待ちの人間になって。受け身の姿勢で仕事をするようになると、自分の頭で考えなくなります。

それは、考えたって、その考えた意見をどうせ聞いてもらえないわけです。だったら考えるだけ無駄だよねとなってしまい、そして言われたことを言われた通りにやるという仕事の仕方になってしまいます。そうなると組織の生産性も部下のモチベーションも下がっていくわけです。

そういうふうな学習性無力感でこれを覚えさせてはいけないわけです。

学習性無力感ということでいうと、上司の関わり方によって、部下の仕事に対する姿勢というのは、ずいぶん変わるということも言えるわけです。つまり、うちの部下はやる気がない、仕事ができないと、これ全部部下が悪いというふうに思う人もいますけれども果たしてそうなのか。それは部下のせいなのでしょうか。

例えば、上司が良い意見を褒め積極的に採用すると、そういうふうなことをやっていると、部下は自分の頭で考えて意見を持っていこうとするわけです。考えながら仕事をすると、そして上司が、自分の意見に対して聞く耳をちゃんと持ってくれる。なんなら確かにそっちの方がいいね、そっちで行こうと言ってくれる。そうなると、部下は自分の頭で考えて仕事に取り組もうとするわけです。

もっといい方法があるんじゃないかとか、もっと効率的にできる方法があるんじゃないかとか、考えて意見を持っていったら褒めてくれる、採用してくれる。そうなるともっと自分の頭で考えて仕事をしようとなるわけです。

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