次は「年代別」「意識別」「離職理由」の傾向という話になります。社員を20代、30~40代、50代、この3つのカテゴリーに分けて、さらに仕事に対する意識の高さが高いか、普通か低いかと分類をします。そうすると、20代の仕事に対する意識が高い人、20代の意識が普通な人など、9つのタイプに分類できるわけです。この中でもとりわけ、興味を持たれるところというのは、20代、30代~40代、こういった人です。離職を防ぐというところではないので、そのカテゴリーの人たちを中心に、離職の理由と対応を説明します。
まず20代の上位の離職の防止ですが、この人たちは若くして仕事に対する意識が高いという人です。こういった人たちは、会社の未来を担っていくような貴重な人材です。こういった人たちのニーズの傾向としては、やはり成長欲求が強いです。時代に応じたスキル経験を身につけたいという意識が強いです。早く経験を積むために、たくさん仕事をさせてほしいという人も多いです。こういった人たちは、就職する前の段階で、自分はこういうふうなキャリアを歩んでいこうというキャリアプランみたいなものを作って、そのキャリアプラン通りに経験を積もうと、知識を得ようというふうに考えている人も多いです。よって、離職を防ぐための対応策と、どういうスキルや経験を積みたいのかを聞き、その内容に応じて仕事内容、仕事量を調整します。それから、時代の流れに合った事業ビジョンを示し、今後の時代に必要なスキルなどが習得できることを伝えます。
若い人にはAIにはすごく敏感です。大学の講演では、終わった後、質問に来る人はAI関連の質問、あとはブラック企業です。ブラックの業界はどこですか、ブラック企業はどういう会社ですかという質問です。AIかブラック企業、どちらかに関する質問が多いわけです。それぐらい皆さんAIに敏感です。それぐらい時代が変化していくということを分かっているのです。だからこそ、その時代の変化に対応すべく、「我々はこういうビジョンで経営を進めていきます。よって、時代の流れに必要なスキルを身につけることができます」こういったところをしっかりと伝えて、本当にスキルを身につけてあげないと、辞められてしまう可能性があります。
それから、下積みの仕事でも、この仕事が将来どういうキャリアに生きるのかを説明し、期待していることを伝えます。若いうちは下積みの仕事をやってもらなきゃいけない理解してもらいます。ただ、成長意欲が強い人というのは、この下積みの仕事というのは、自分がやりたい仕事と違うと考え、自分のキャリアプランと違うとなり、これで欲しいスキル、欲しい能力が身につくのかと思って、こういう仕事がずっと続くのかなと思っちゃうのです。そう思うと、話が違うとなり、入社する前はこのような仕事をさせられて、もらえる、こういう経験が積めると聞いたから入ってきたのに、なんだこの仕事ばかりと、つまらないとそう思ってしまうと辞めちゃうのです。しかも、こういう人たちというのは、他の会社から手が出るぐらい欲しい人材なので、転職活動すると転職決まるのも早いのです。そうならないように、ここでどんなスキル経験を積みたいのかを聞いた上で、そういうスキル経験を積みたいのであれば、将来こういう仕事をしてもらおうと思っていると説明し、そのために、まずその下積みの仕事が大事であること、この下積みの仕事が、あなたがやりたい将来の仕事のベースになること、ここがこういうところにつながるんだと。なので、そういうふうな意味合いもあってこの仕事をやってもらうんだと。そこをよく意識した上でこの仕事をやってほしいと。この一言があるかどうかで、その仕事に対する価値とかやりがいがずいぶん変わるのです。こういったコミュニケーションをきちんと取ることですね。
それから20代中位、ルーキーの離職防止ですけど、このカテゴリーの方はですね、仕事に対する意識、まあ普通ぐらいです。ニーズの傾向としては生存欲求と関係欲求です。労働環境はすごく重視しています。そして若い人はとにかく残業が嫌いです。プライベートを重視するわけです。夜7時には家にいたいというのです。夜7時に家にいて、何するのと聞いてもですね、明確な答えがあるわけではないのです。ダラダラ動画を見たり、そういう状況でも夜7時には家にいたいというのです。残業がとにかく嫌いな方が多いです。ですので、残業や休出出勤を嫌うと、また分からないことが多いので、質問や相談したいのですが、叱られると心が折れるので、叱らないでほしいと。この20代の若い方は、時代の変化もあって、学生時代に、先生から叱られるというか、もうきつく叱られるという経験が非常に少ないわけです。今はそういうことを経験してないのです。なので、親からも先生からもきつく叱られるとか、怒られるとか、感情をぶつけられるとか、そういうふうな経験がないのです。よってそういうことに関する免疫もない。そういう方々が社会に入ってきて、上司から叱られる。そうすると、叱られるとか怒られることに関する免疫がないものですから、簡単に心が折れちゃうわけです。それでやめますとなったり、やめるとも言えないから転職代行サービスを使う、こんなケース増えてます。対応策としては、残業や休日出勤をさせないように業務配慮を調整します。
とはいえ、やってくれる仕事がたくさんあるんだとしたら、入社3年目ぐらいまではまずは残業させない。ある程度仕事に対するキャリアもついてきて、仕事もこなせるようになってきて、社内の人間関係も十分にできてきたタイミングで、残業させるぐらい仕事をしてもらうのはまだよいです。けれども、入って間もない段階でとにかく残業はさせない方がいいです。
それから話しかけやすい雰囲気を作り、質問・相談があったらウェルカムな対応をします。1日1回はわからないところは「ない」「大丈夫」と声をかける。それから「メンター」をつけて相談しやすい状況を作ります。何かわからないことがあったら、この人に聞いてねという、もうメンターをつけると、部下も聞きやすいのです。その人に聞けばいいんだと、わからないところがあったら、何でもこの人に聞けばいいで、その人がわからないところは、その人が他の人に聞いて、どうにかしてくれるかは、とにかくわからないことがあったら、まずこの人に聞いてという人を作っておきます。部下は質問しやすいです。プライドを傷つけないように叱ります。
20代の意識の低い人の離職の防止です。この人たちはですね、さっきと意識の普通ぐらいのことと同じです。残業したくない、休出出勤したくない、わからないことが多いので質問を相談したいし、叱らないでほしいと。こういった方はむしろ上司の関わり方に注意が必要です。得意な仕事をするとか、成功体験を得るなどによって仕事が楽しいと感じると意識が高まる可能性もあります。上司の側は、この部下はやる気がないとか、仕事ができないとか、そういうふうにしてしまうと、もう部下と関わるのが面倒くさくなります。なんなら当たりがきつくなります。もっと言うと、成長を諦めるとなります。そういうふうな態度が出てしまいがちなのです。だからこそ、上司の側が気をつけなければいけないというところがあります。そして当初はやる気がなくても、だんだん仕事がわかってきた、そして成功体験をどんどん積んでいったっとなると、仕事が面白いと思って頑張れるようになります。
対応策としては、基本的には先ほどの20代中位の方と同じです。上司が感情的になるとそっけなくなります。期待しなくなるなどの、上司の態度が問題を生じしやすいため、適材適所の配置により可能性を引き出します。この人の傾向というのは、そうするところです。この人も何らかしら得意なことがあるはずだと理解して、その得意なことを見つけて任せるようになるとよいです。
そして30代~40代の上位、エリート、意識の高い人の、離職防止です。この方々の傾向としては、成長要求を満たしたい。実績も自信もあり、経営職、独立も含め、新たな挑戦意識、意欲が高いです。自分の可能性を追求したいので、社内キャリアの頭打ちとかマンネリ化によって持続しやすいとなると、もうこの会社でいたら新しい経験できないなとか、新しい能力を身につけることはないなとか、もう成長できないなと思うとやめようと思うケースが多いのです。
対応策として、本人の希望に沿う社内キャリアのビジョンを見据えます。責任と権限を与え、組織を束ねることに関して挑戦をさせ、マネージャーとしての能力を伸ばします。フィードバックを行い、新たな成長を実感させます。実感すると、プレイヤーとしてはもう大切であり、経験、継続できることは一通り経験したとなります。これ以上新しいことを経験することがないだろうと思ってもですね、じゃあ今度マネージャーとして目標を与えるわけです。マネジメントを頑張ってみないかと。人を育てる、チームを成長させる、そういうふうなところに関して、これから経験を積んでほしいと。そういうマネジメントという視点から目標を与えていくと、本人はおお、こういうふうなことは新しい経験が成長できそうだなと、そう感じてもらえるとですね、まだまだこの会社にいようと思ってもらいやすいです。それから、会社としても挑戦する姿勢を見せ、ワクワクするビジョンを見せるとともに、挑戦の場を提供します。やはり、この社内キャリアの現状維持とかマンネリ化、これを生じさせないためには、新しい経験ができる機会というのは与えるというのがまずは大事です。
そのためには、会社としても成長していないとか、なかなかそういう機会って与え続けるのが難しいです。だからこそ、会社としても挑戦する意欲を見せる必要があります。
そして、30代~40代の中位、現場牽引者の離職の防止です。この方々の傾向としては、関係要求、成長要求を満たしたいと、30代から40代ですから、管理職になって会社の要求に理不尽さを感じること、管理職になった途端、もう会社からの要求が厳しくなる。もう君はマネージャーなんだから、君はもう部長なんだから、課長なんだから、今まではそこまで言われなかったのに、もう幹部になった途端、会社がとやかく言ってくると、言い方もきつくなると、そこに理不尽さを感じること。そして社内キャリアの頭打ち感は離職要因になりやすいとなります。自分がこの会社にいて、せいぜい部長止まりだなとか課長止まりだなとか、こんな風な社内キャリアの頭打ち感、これが出てくると未来が見えないわけです。面白くないわけです。
また、同世代の上位者ほど成果を出しておらず、会社から必要とされていることが気になります。エリートの方々、この人たちほど、成果を残せていない。だからこそ、昇進の速さにも差がつき始める。もう同期の人は部長なんだと、自分はまだ課長だとか、あいつはもう役員まで行くなとか、自分はもう役員はないと、そういうふうなところが見えてくるのです。自分は本当にこの会社に必要とされているのかなと、いいように使われているだけじゃないかなと、そういうふうに思ってしまうと、そんなふうになっていくのですね、やめようかなというふうに思いがちです。対応策としては管理職だからといってプレイヤー業務の忙しさを考慮せず、マネージャー業務をさせていないか、行ってよいかと確認します。この上位の方々は、仕事が大好きなんです。仕事どんどん任されていけるんです。どんどん頑張ってやっちゃうんです。だけど、この人たちは、そこまで仕事が好きじゃないんです。なので、そこそこしていればよいというような考え方の人たちです。けれども、プレイヤーの業務がもともとあって、そして管理職になったのだからといって、そこにそのままマネジメント業務が降ってくるとなると、この仕事が一気に増えるわけです。そうなると、もうやってられないとなり、自分はそんなに仕事好きじゃないんだと、それで辞めてしまうというふうなこともなりかねるので、業務量に要注意というところです。
それから、新たな役職を任せる。新たな好きな経験を積ませるなどにより、社内のキャリアの頭打ちを感じさせない。とはいえですね、社内の役職というのは、もう数が決まっています。なので、今、役員がいてですね、部長が一定となった時に、その人たちが辞めない限り、昇進させることができない。そんな状況で長く時間が過ぎていきます。だんだん社内キャリア頭打ち感っていうのを感じてしまいます。であるならば別の職員を設ければいいのです。例えば部長、課長、係長みたいな役職しかないのであれば、部長補佐とか課長補佐とかそういう役職を設けて、課長だった人が部長補佐に昇進させるとか、係長だった人が課長補佐に昇進させるとか、そんな風にして新しい役職を設けてあげるだけで、また気分も変わってくるわけです。そして、うちの会社にはあなたが必要だと真摯に伝える。もうこれぐらい年次になってきますと、会社としての付き合いが長い。そういう相手に対してこういうようなメッセージを言わないんです。もうこんなことを言わなくてもわかるよねと、とにかくやることやって、そういうふうな雑な扱いになっていきやすいのです。まだ若手の人がちやほやされるかもしれませんけれど、30代~40代長く働いていると、そういった人たちに対してだんだん関わりが雑になってきがちです。そこが要注意なのです。やはりいくつになったって褒めてほしいんです。うちの会社にあなたが必要だって言ってほしいのです。そういうところをしっかりと伝えると、このタイプの方々は上位の方々ほど結果残せていないので、本当に会社から必要とされているかなというふうに思っているのです。気になるからこそ、余計にこういう言葉を言ってほしいのです。だからこそ、こういったところを面談とか飲み会に行った時に、そういう時にきちんと伝える。これはかなり大事なことです。